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ここへ来て三日
まだ三日
そう言えばお風呂に入っていない事に気が付いた
「一ついい?」
「どうした」
「何だか自分が臭い」
「確かに・・・じゃ行くか」
「えっ?」
冬矢はまた鉄格子を開け、俺を見つめた
氷龍は無反応だった
「どこに行くの?」
「シャワーしかないけど我慢な」
「それはいいけど」
「俺は無理だから待ってるよ」
「うん」
案内されたシャワー室は綺麗だった
シャンプーやボディソープも揃っていた
シャワーをひねるとさび付いた水が出てきたら嫌だと思っていたけど普通のシャワーだった
これも例外ってやつかな
久しぶりのシャワーは気持ちいい
髪も綺麗に洗って体も洗った
「嘘でしょ・・・」
排水溝に流れて行くお湯が濁ってる
結構体が汚れていたらしい
「もういいのか?」
「ありがとう」
外に出ると冬矢がタオルを渡してくれた
真っ白の綺麗なタオル
「ドライヤーは向こうだ」
「うん」
しかもドライヤー完備
髪を乾かしながら鏡越しに冬矢を見つめた
「どうした?」
「冬矢の髪、俺がシャンプーしようか?」
「えっ?」
「それぐらいなら出来るよ、弟の髪も・・・ううん、何でもない」
弟の髪をよくシャンプーしていた事を思い出した
今では悲しい思い出だけどね
「じゃ、お願いしようかな」
「うん」
「悪いけど脱がせてくれる?」
「わかった」
そうだよね
濡れるから脱ぐしかないけど、なんだか逆に申し訳なかったかも
と言うか、冬矢の体って傷だらけなんだ
一体何をして来たんだろう
「タオルぐらい巻いてね」
「俺は気にしないけど」
「俺が気にするの!」
「はいはい」
腕が濡れないように注意しながらシャンプーした
冬矢の髪って・・・まさか
「あのさ」
「ん?」
「どうして黒に?」
「何となくだ」
「そうなんだ」
冬矢の地毛はゴールドだった
和海はシルバー
綺麗な色なのにね
「伸ばさないの?」
「手入れが面倒だし似合わないよ」
「双子でしょ?」
「いい大人が同じ髪形とか気持ち悪いだろ、顔も同じなのに」
「そうかな」
「俺はこれぐらいがちょうどいい」
「そう」
確かに似合ってるし俺が決める事ではない
髪を乾かしながら気付いた
色は違っても同じ毛質なんだ
絹のように柔らかい
「出来たよ」
「サンキュー、さっぱりした」
「これぐらいしか出来ないから」
「十分だよ」
そう言いながら冬矢は和海と同じ温度の手のひらで俺の頭を撫でた
久しぶりの感覚だった
「ごめん、つい」
「ううん」
冬矢の恋人はどんな人だったんだろう
きっとまだ辛いよね
「あのさ」
「何だ?」
「俺に何かして欲しい事があったら何でも言ってね」
「何でもね~」
「和海に殺されない程度なら」
「成程」
「何かない?」
「そうだな・・・」
「うん」
冬矢はしばらく考えて俺に言った
「後ろから俺に抱き着いて欲しいかな」
「えっ?」
「嫌ならいい」
「嫌じゃないけど・・・」
「よく後ろから抱き着いてきたんだよ」
「そう」
きっと恋人の事だろう
俺は後ろからそっと冬矢を抱きしめた
冬矢は少しだけ震えながら俺の手を握りしめた
「我慢しなくてもいいと思う、泣きたい時は泣けばいいよ」
「やめろよ」
「俺だってバカみたいに泣いたしね、大切な人を失う辛さはわかっているから」
「すまない・・・今だけ甘えさせてくれ」
「うん」
冬矢は静かに泣いていた
それが余計に辛そうで俺まで泣きそうになった
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