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深夜、俺と氷龍はあの塔の上にいた
「吸うか?」
「ああ」
乾いた音とオレンジとブルーの炎
「どう思う?」
「それは燕羽の事か?」
「ああ」
「俺に聞いてくると言う事はお前も見たんだろ?」
「・・・・・・・・」
「単なる話にしては細かすぎる内容だし、疑問も沸いてくる」
「お前の意見は?」
「あの事件に関しては確かに証拠が揃いすぎていたが確信出来るまでの証拠ではなかった」
「燕羽が犯人だと?」
「お前としてはどう答えて欲しいんだ?」
「真実だけ知りたい」
「何故?」
「何故・・・」
「そう、何故だ?ここまで落ちたのならもう知る必要などないだろ?」
「・・・・・・・・」
確かにそうだ
そうだけど
煙を深く吸い込み、タバコをもみ消した
「犯人は燕羽に間違いないだろう」
「えっ?」
「ただ、犯行理由が無い」
「じゃどうして?」
「無実を訴え続ければ無実にもなったはず、しかしあいつはわざわざ証拠を残してとりあえず否定して認めた」
「何故そんな事を」
「さぁな、警察は犯人が認めればそれでいい」
「どうして・・・」
「理由は二つ」
「二つ?」
「何かしらの恨みがあった」
「もう一つは?」
「ここへ来たかった」
「わからないな、ここに来る理由が」
「あの家族に何の接点も無い、だから理由は」
「ここへ来たかった、それだけの為に殺したのか?」
「ふざけるな、ここは刑務所だ・・・俺はむしろ褒めてやりたいね」
「何故だ」
「楓もお前も同じ気持ちだろ?家族を失ったあいつを見てどう思った?ざまあみろと思わなかったか?」
「・・・・・・・・・・・・・」
否定は出来ない
あいつが泣いている姿を見て心が躍ったのは確かだ
大切な人を亡くした悲しみに嘆き悲しむあいつを見て心が軽やかになった
「冬矢」
「何だ」
「燕羽には気を付けろ」
「えっ?」
「あいつは何かが欠けてる」
「どういう事だ?」
「殺しをしていない奴が火傷だらけの顔を見ても動揺すらしなかった、死体を見て腰を抜かしたと言っていた奴がな」
「・・・・・・・・・・・」
「普通なら驚く場面だ」
確かにそうだ
「あっ」
「気付いたか?」
「ああ」
火傷だらけの顔を見つめなければ写真と同一人物だとは気付かない
いや、あの話し方は最初から同一人物だと知っていた話し方だった
何故?
「しかし、ここは刑務所の中・・・あとはお前の好きにしろ、忠告はした」
「俺の目的は・・・」
「そうだな、それを忘れない事だ」
「ああ」
話を聞いたからと言って避けるつもりはない
しかし理由が知りたい
いや、それを知ってどうする
むしろ知らない方がいいに決まっている
遠くに見える船の灯りをぼんやりと見つめていた
本当にこれでいいのだろうか
もう十分なのでは?
俺にはわからない
このままでいいのだろうか
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