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綺麗な夕陽を見た後、こいつらの顔を見るのは萎える
お腹も空いたし急いで食堂に向かい氷龍の隣に腰かけた
どうして隣なのかはわからない
野生の勘ってやつかもね
今夜の氷龍は美味しそうな匂いがした
「少しは退屈しのぎにはなったか?」
「とても」
「そうか」
「何?」
「海へ行ったのか?」
「どうして?」
「潮の香りがする」
「そう」
潮の香りってどんな香りだろう
気にした事も無かった
「あのさ・・・氷龍も知ってる?海の色」
「俺はあの海を見ると気が狂いそうになるから見ない」
「そう」
知ってるんだ
「あの海の色を知る奴らは限られているがな」
「どうして?」
「脱獄になるだろ?」
「あっ・・・成程」
「お前はそんな奴だ」
「じゃ、どうして氷龍は知っているの?」
「偶然見えただけだ」
「そう」
と言う事は、俺達は堂々と脱獄してたわけね
その割には誰も来なかったけど
「この匂い・・・」
「おでんだ!」
「お前達が食べたがっていると小耳に挟んだからな」
凛かな?
「すごい、本当におでん」
「美味しそう~」
「冷める前に食べろ」
「うん」
「いただきます!」
どうしてこんな所に土鍋があるのかとか
どうして今夜おでんが出て来たのかとか考える必要はない
ここはそういう所なのを忘れていた
「美味しい!楓、早く食べてみて」
「うん」
凛達も今頃同じものを食べているのかな
久しぶりに食べたおでんはとても美味しかった
どこか懐かしく、とても温かい味
ここに来なければ気付かない味
「砂がついているから食べたら風呂に入って早めに寝ろ」
「うん」
頭を振ったら砂がテーブルの上に落ちた
「ちょっ!やめてよ」
「結構ついてた」
「だって遊んだし」
「うん・・・あれ?」
「どうしたの?」
「ここの砂って」
テーブルに落ちた砂を見つめてもう一度頭を振った
「楓?」
ただの砂じゃない
砂の中に光るものがあった
「それは俗に言う宝石の欠片だ」
「ええっ!マジで?」
「宝石・・・」
「普段は白砂なんだが、あの時間の砂には宝石が混じっているんだ」
「それってすごくない?集めれば超お金持ちじゃん!」
「だから違った意味で狂う奴らもいる」
「へぇ」
「楓は興味無しか?」
「面倒臭い」
「だろうな」
「でもさ、もし他の奴らが砂を取りに行ったら?」
「脱獄は即銃殺だ」
「うわ・・・」
要するにあの砂を取るのは不可能
「燕羽はお金持ちになりたいの?」
「冗談だよ、お金があっても手に入らないものはもう手に入れたし」
「何を?」
「えっとね・・・友達かな」
そう言いながら照れる燕羽
確かにそうかもね
「まさか・・・違うって言わないよね?前の時みたいに」
「どうしようかな」
「楓~」
「冷めるよ」
「今はおでんより楓の話が大事なの!」
「俺じゃなくて、俺達でしょ?」
「えっ?」
「違う?」
「うん、そう!俺達の話」
「保留に」
「だからっ!!」
もうとっくに友達でしょ?なんて言えない
俺だって照れるしね
「あっ!凛だ」
もう見慣れた風景
綺麗に道が割れた
「こんばんは」
「すごいんだよ、おでんが出て来たんだ」
「よかったね、美味しい?」
「すごく美味しい」
やはり凛だ
と言うか凛しかいないしね
「楓はどう?」
「美味しい」
「おすすめは竹輪」
「俺もそう思う」
「だよね」
「うん」
でも、たまに・・・バカな奴らが現れる
自分が一番強いと見せつけたい奴ら
朱雀の場所からでは間に合わない
俺も間に合わない
当然、氷龍も気付いているけど何もしない
「借りるね」
「ふぇ?」
凛は箸を持ち、振り向きざまに突き刺した
「せっかくのおでんを台無しにしてしまう所だった」
「何だ・・・お前・・・ぐふっ!」
「箸を抜いたら死ぬよ」
「ううっ・・・」
喉元を一突き
抜いたら確実に死ぬ・・・と言うかもう死ぬしかない
「だからこの箸はお前にあげる」
「ざけんな・・・ぐはっ!」
これだからバカは困る
抜いたら死ぬと聞いたくせに抜くとはね
自業自得ってやつ
「助け・・・て」
綺麗な噴水なら食欲もそそるけど、血の噴水は食欲を無くす
「こんぶでも貼り付ければ?」
「ううっ・・・」
燕羽は笑いながらこんぶを投げつけた
「朱雀」
そして三人の死体が転がった
切れ味抜群のメスで切り裂かれた喉
血の色で染まった床に映る凛
その頬についた血を綺麗なハンカチで拭う朱雀
「凛が何も出来ない訳ないだろ・・・こいつら新人か」
氷龍の一言で空気が更に変わった
「ひ、ひぇぇ・・・凛・・・」
「護ってもらうだけじゃここでは生き残れない」
「正解」
「って!ここで竹輪を食べるとか・・・楓らしいけどもっ!」
「正解者には竹輪をプレゼント」
「ありがとう」
「あのさ、二人で何遊んでるの?」
「これは遊びじゃないの?」
「凛が悪魔に見えて来た」
「悪魔?そんなのとっくに知られてるのかと思ってたけど」
「うわーーー」
「でも、場所を変えた方がいいかもね」
「賛成」
「こいつらは放置でいいの?看守に見つかったら」
「掃除が面倒臭いから見て見ぬふりをするだけでしょ?」
「確かに」
「行こう」
「うん」
俺達は場所を変えて食事を続けた
何事も無かったかのように笑う凛
そして俺達
そうか・・・ここに来た時点で俺達はもう悪魔になっていたんだ
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