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「冬矢、携帯鳴ってるけど・・・」
「そうだな」
「出ないの?」
「俺が携帯を持っているわけ無いだろ?」
「だけど」
「行くぞ」
「うん」
ポケットに入っていた携帯の電源を切り、燕羽の背中を押した
最近、頻繁にかかって来る携帯
裏を返せば焦っていると言う事か焦らせていると言う事か?
無視するわけには行かないが、今は出るわけには行かない
「楓、聞こえたよね?」
「聞こえたような気もするし気のせいのような気もする」
「もうっ!」
「だって俺には関係ないし」
「そうだけどさ」
楓が傍にいるし俺が出たらすぐに気づかれてしまう
楓の声が聞こえたら代われと言うに違いないしね
今、楓の心を揺るがすのはいけないような気がして黙って電源を切った
「お腹空いたね」
「うん」
廊下をしばらく歩いた所で立ち止まり二人に言った
「忘れ物をしたから先に行け」
「忘れ物?」
「すぐ行くから」
「わかった~」
我ながらわざとらしい嘘だが燕羽は誤魔化せる・・・しかし
「忘れ物って何だろう」
「大したものじゃない」
「大したものじゃないのにわざわざ戻るの?」
「盗まれるには惜しいからな」
「へぇ」
楓は簡単にはごまかせない
しかし嘘を突き通すしか無いのも事実
「凛が待っているぞ」
「そうだね」
「行こうよ、楓」
「うん」
こういう時は鈍感な燕羽が役に立つ
まぁ、そういう所が可愛いと言うのも確かだが
怪しまれないように二人と笑顔で別れ、その足で人気のないところまで移動して電話を掛け直した
内容は大体想像がついたが疑われるのも厄介だ
適当に話を合わせ、携帯をポケットにしまった
俺から会話を中断する事は出来ない
すぐに疑われてしまうのが目に見えている
和海が先に切るまで会話に付き合うしかないが無駄な話はしないので通話自体は数分で終わる
急いで食堂に向かおうとした時、氷龍が現れた
「何か俺に言う事は?」
「無いよ、相変わらず同じ内容だ」
「そうか」
「和海がいつまで大人しく待っているかが問題だな」
「冬矢はどう思う?」
「あいつにしては待っている方だと思う」
「成程」
「俺としては勝手に行動されるのも困るけどね」
「結論は?」
「危ないな」
「そうか・・・」
「お前はどうするつもりだ?」
「楓の気持ち次第だろ?俺を動かすのも止めるのも」
「対策はあると言う事か」
「無い」
「お前らしいよ」
「対策を立てても楓の性格だ、泣きを見るだけだろ」
「超が付く程の気紛れだしな」
「ああ」
「お前に伝える事は以上だ」
「わかった」
俺を信用していないのか?
それとも確認の為?
どちらにせよ嘘はついていないし気にするのはやめよう
「冬矢」
「まだ何か?」
「この島に罠を仕掛けたから掛かるなよ」
「罠?」
「外部からの侵入を防ぐのが目的だ」
「成程」
「お前達と凛達には害は無いがもしもの時の為に一応な」
「もし掛かったら?」
「死ぬだけだ」
「確かに死んでもいいような奴らばかりだしいいんじゃないのか?」
「巻き込まれないようにな」
「わかった」
「お前が何も言わなければここに敵は侵入出来ないと言う事だ、罠を仕掛けた事を知っている奴らは殺した」
「相変わらずだな」
「そうか?」
「俺は和海に話すつもりは無い」
「・・・・・・・・・信用しよう」
「ああ」
氷龍も本気を出して来たと言う事か
和海がここへ来る事は無いが敵は送り込むだろう
俺は、知らなかったで押し通すしかない
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