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「楓ーーー!楓・・・朱雀、楓を助けてよ!きっと俺が狙われてたんだ、楓っ」
「凛、すまない」
「何それ?助けてよ」
「もう呼吸は止まっているんだ」
「朱雀なら出来るでしょ?ねぇ!」
「楓・・・嘘だろ?おい、楓!!」
「嘘・・・いやだ、楓が死ぬなんて嫌だよ・・・楓、起きてよ」
「楓」
俺を庇って楓が死んだ
俺を・・・
俺の声を聞いた朱雀が駆けつけた時、楓は崖の下だった
氷龍が楓をここまで運んだ
だけどっ!
楓は
死んでいた
「凛」
「嫌だ、俺は絶対認めない」
「どこへ行く!」
「朱雀追いかけろ、敵は凛を狙ったんだ」
「クソッ!」
どうしてこうなるの?
俺が誘わなければ楓は死ななくてよかったはず
俺のせい
無意識に走りながら涙を零した
さっきまで楓と二人で笑っていたのに
砂浜で足を取られその場で転んで砂を握りしめた
「ハァハァ・・・楓っ!」
「凛、外は危険だ」
「どうしてそんなに冷静なの?ねぇ!」
「よく聞きなさい、狙われたのは凛だ」
「・・・っ!」
「恐らくあいつらだろう」
「楓は俺を庇って・・・どうしてそんな事をしたんだよっ!」
「凛にはやらなければいけない事があるからだろ?」
「だけどっ!」
狙われたのは俺
ハッキングしたから?
大切な人を助けたいと思うのはそんなにいけない事なの?
「戻ろう、楓の傍に」
「・・・・・・・・」
この色の海
いつも見つめていた
だけど伝説のイルカなんて来てはくれない
「あれ・・・何?」
「わからない」
こんな海の色は初めて見る
そして波がざわめき出した
「イルカ・・・」
「イルカ?」
「見て!黄金のイルカだ、伝説は本当だったんだ」
「これが・・・」
すごく綺麗
黄金のイルカが近付いて来た
いつも見ている海の色が黄金に輝いた
(少年よ、願いは何だ?)
願い
俺はその為にここへ来た
ずっと待っていた
待っていた・・・
「凛!」
アサの為にここまでやって来た
俺の願いは・・・
拳を握りしめ、朱雀を見つめた
「それでいいのか?」
「うん」
「そうか・・・わかった」
朱雀にはもう俺の願いがわかっていた
とても悲しい表情の朱雀
「楓を返して下さい」
(それでいいのか?願いは一つ最初で最後だ)
「はい」
(その願い叶えよう)
ごめんねアサ、ヨル
俺はアサを助けられなかった
本当にごめんなさい
「朱雀・・・俺は」
「凛が選んだんだろ?」
「うん」
「ならそれでいい」
「うんっ・・・ごめんなさい、アサ・・・ごめんなさい」
俺は家族を助ける事が出来なかった
大切な家族を・・・時間も残されていないのに
今も苦しみ続けているアサを助ける事が出来なかった
「ごめんね、アサ・・・アサっ!」
その場で泣き崩れ、砂を何度も拳で殴りつけた
「凛、後悔しているのか?」
「していないよ、でもね・・・わかるでしょ?」
「そうだね」
死んでしまった楓を助けた俺
後悔はしていないけど、申し訳ない気持ちでいっぱい
「アサ達もわかってくれるさ、凛だから仕方が無いってね」
「・・・・・・・・」
「戻ろう、楓の様子を」
「うん」
そのまま夕陽の中を歩いた
今の俺にはとても耐えられないような赤い夕陽だった
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