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「凛、今日は帰りが遅かったから心配したんだぞ?」
「ごめんね、アサ」
「楓と居たのか?」
「うん、ワインを作ってた」
「そうか~、楽しみだな」
「明日も行って来るね」
「わかった、でも気を付けろよ」
「ありがとう」
「じゃ、風呂入って来るから」
「いってらっしゃい」
「先に部屋で寝てろよ、すぐに戻る」
「うん」
アサ達の寝室に向かい、ドアを開けるとヨルがいた
「仕事中?」
「いや、もう寝るよ」
「うん」
「お前」
「ん?」
「その赤い染みはワインか?」
服の袖に赤い染みがついていた
これはさっきの血
「ホントだ」
「・・・・・・・・・」
「ヨル」
「血の匂いがする」
「バレた?」
「お前はむやみに人を殺す子じゃない事はわかっているが、危険な事はやめておけ」
「わかってる」
「まぁ、あんな事をした俺達に人の命の価値などわからないけどね」
「わかってるでしょ?アサの命の価値は」
「そうだな」
「それで十分」
「凛」
「いつもごめんね、二人の邪魔をして」
「俺達は嬉しいんだ、そんな事を言うんじゃない」
「ありがとう」
「朱雀と連絡は?」
「取っていない」
「やはりか・・・」
「戻って来る意思があるのなら戻って来ると思うし」
「それじゃダメだろ?」
「邪魔はしたくないんだ・・・朱雀は研究の事しか頭にないみたいだし」
「朱雀とは親友だが俺達はお前の味方だ」
「やめてよ、喧嘩してるわけじゃないんだから」
「本当だ」
「あのね、俺ここに朱雀と来て気付いた事があるんだ」
「気付いた事?」
「うん、朱雀は俺を護ってくれたしいつも傍にいてくれた」
「ああ」
「でも、朱雀が本当にやりたい事は医学なんだなって」
「凛」
「ここに来たのは俺の我儘だしね」
「アサの為だろ?」
「いるかどうかもわからないイルカをずっと待つだけの生活」
「すまないと思っている」
「どうして謝るの?やめてよね」
「わかった」
「俺が目の前にいるのに、朱雀の瞳の奥は違うものを映していたんだ」
「違うもの?」
「朱雀は自分の手でアサを治したかったんだなって」
「わかるけど、今の医学ではどうにもならない」
「だからこそだよ」
「・・・・・まぁな」
朱雀の性格は誰よりもわかっているから言い切れるんだ
「お前、朱雀は戻らないとでも?」
「朱雀は医者なんだよ、あの日だってそうだった・・・俺ではなく傷付いたみんなの為に残ると言った」
「それは」
「死ぬかも知れないあの場所で、最後に傍にいて欲しいと思われなかった」
「凛」
「朱雀の愛は俺を傷付けるから・・・幸せだけど辛かった」
「俺が朱雀と会って来る」
「やめて、雪が降っても戻らなかったら会いに行くから」
「わかった」
「それが答えでしょ?」
「・・・・・・・・・」
愛しているから辛いんだ
愛しているから朱雀の人生の邪魔はしたくない
だけどね、ずっと待てるような強い心も持ち合わせてはいない
「お待たせ!」
アサが戻って来た
「ホントに早いね」
「当たり前だろ?よし、寝るぞ!」
「うん」
「ヨル、ベッドに入れ」
「ああ」
アサとヨルの真ん中で目を閉じた
目を閉じるのは好きじゃない
色々な事が見えてしまうから
勝手な想像とかが一人歩きしてしまうから
「眠れないのか?」
「大丈夫」
「じゃ、抱っこだな!」
「やめてよ、子供じゃないんだよ?」
「凛はいつまでも子供だ、大切なね」
「うん」
アサに抱きしめられながら眠る夜
この腕が朱雀だったら・・・と想像しなくなった俺
どこかで気付いていたんだ
答えをうやむやにしたくて優しいふりをしていただけ
「もしかして寂しいのか?そうだよな、朱雀の奴いつ戻るんだよ」
「寂しくないよ、二人が傍にいてくれるから」
「凛」
「本当だよ、二人がいれば寂しくない」
「そうか」
それは本当
一人だったら俺はずっと泣いていたはず
朱雀、本当にこのまま戻らないの?
俺は待たなくてもいいの?
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