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最近氷龍とすれ違ってばかり
忙しいから仕方が無いけど、一人で眠るのは寂しい
そして俺が疲れている時に限って・・・
「楓」
「今終わったの?」
「ああ、今夜は一緒にいられそうだ」
「そう」
気怠い体を起こして氷龍にキスをした
「楓」
「ごめんね、今日はすごく疲れてる」
「わかった、早く寝ろ」
「うん」
まるで倦怠期の夫婦みたいな会話だね
でも、気が乗らない
そんな生活が最近続いている
このままではいけないとわかっているのに
ドアが開く音
遠ざかる足音
それを黙って聞きながら目を閉じた
何時間経ったのだろう
時計が無いから今何時なのかもわからない
「氷龍」
「お目覚めか?」
「酔ってるの?」
「たまにはね」
「水を」
「必要ない」
重い空気の中、時間だけが過ぎて行く
「十分眠っただろ?」
「どういう意味?」
「和海はどうやってお前を抱いたんだ?」
「その名前を出さないで」
「もういないんだ、教えろよ」
「そんなに和海と比べられるのが怖いの?」
「違うね、和海の宝物が欲しかったんだ」
「最低だね」
「最低でも愛してくれただろ?」
「飲み過ぎじゃない?」
「そんなに飲んではいない」
「じゃ寝たら?」
「疲れたら寝るさ」
「・・・・・・・」
「何故俺を拒む?」
「拒んでいるつもりは無いけど」
「あるだろ?」
「何が言いたいの?」
「話は無い」
「やめて」
そのまま押し倒され、手首を縛られた
「どうして縛るの?」
「その方がそそられるからだ」
「んっ・・っ」
こんなキスは嫌
痛いだけで気持ちのこもっていないキス
「キスまで拒むのか?」
「いい加減にして」
「黙れ」
縛られた手首を持たれ、髪を掴まれた
うつ伏せにされて腰を掴まれ四つん這いのまま入り込んでくる異物の痛みに黙って耐えた
耐える?
おかしいよね
愛しているんだから耐えるなんて言葉は相応しくない
でも、俺はイライラしていた
「いい格好だな、鏡を見てみろ」
「そんな趣味があるんだね」
鏡越しに氷龍を見つめ、自分の気持ちを確かめた
「どうした」
「別に」
「頑固だな」
「くっ・・・」
更に激しく攻め立てる氷龍
耐えているのではない、確認しているだけ
今の氷龍を許せるかどうかを
「すぐに気持ちよくしてやるよ」
そして出した結論は
「いい加減にしてくれない?」
「楓」
縛られた縄を引きちぎり、シーツを体に巻き付けた
「最後だからイクまで待っててあげようと思ったけど無理だね」
「どういう意味だ」
「辛い場所では惹かれ合い助け合うのが人間、生死を共にすれば尚更」
「何が言いたい」
「孤独だから誰かを求める、一人では不安だから絆も深くなる・・・でもね」
「幸せに浸かりきった人間は真実が見えなくなる、それが今の氷龍でしょ?」
「すまなかった・・・お前の気持ちがわからなくなっていたんだ」
許せる?
俺はどうなの?
「俺は別の部屋で寝る、これからもね」
「楓」
「みんなが心配するから上辺だけ愛してあげる」
「・・・・・・・・」
「わかるよね?俺はもう愛していない」
「考え直せ、俺は待っている」
「好きにすればいい」
そのまま部屋を出て中庭に出た
プールの水が揺れている
俺は膝を抱えて泣いた
悲しいんじゃない
和海だったら?と考えた自分が許せなかっただけ
「そうだよね」
俺はまた勘違いをしていたみたい
氷龍はあの中では辛くも無ければ孤独でもなかった
ずっと俺を騙していたんだ
愛していると思っていたけど心だけの結びつきなんて存在しないんだ
だからと言って氷龍に騙されたわけではない
氷龍が俺の全てを求めすぎただけ
確かに俺も愛していた
きっとどこかで赤い糸がねじれてしまったんだ
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