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夜が明けるのを待って、部屋に戻った
夢だったらよかったとは思わない
そのままベッドに倒れこみ、赤くなった手首を見つめた
俺が帰る場所はどこにあるんだろう
笑い声が耳障りで目が覚めた
ここはそういう所なんだから仕方が無いけど今はうるさいだけ
「楓、起きてる?」
凛の声
「うん」
「入るよ」
そっとドアを開けて凛が部屋に入った
「どうしたの?朝氷龍に楓の事を尋ねたらここに居るって聞いて」
「ごめんね」
「喧嘩でもした?」
「喧嘩ね・・・秘密の話をしようか」
「ん?」
「俺達別れたんだ」
「・・・・・・秘密の話ね」
「凛にだけ言った」
「俺はどういう反応をすればいいんだろう」
「そのままでいいよ、何も変わらない」
「それでいいの?」
「うん、別に悲しくも無いしね」
「そっか・・・じゃ俺も」
「ん?」
「昼寝でもする」
「いいね」
ベッドに潜り込んで来た凛と顔を見合わせて微笑んだ
凛の髪は不思議な香りがした
「楓」
「うん」
「お願いがあるんだけど」
「どんな?」
「付き合って欲しい所がある」
「いいけど」
「朱雀に会いに行くよ」
「そういう事ね、オッケー」
「ホントは一人で行こうと思ってたんだけど」
「凛、何かあったの?」
「よくわからなくて・・・」
「そう」
「俺が冷たいのかな、それとも」
「凛は優しいよ」
頭を撫でようと手を出した時、手首を掴まれた
「これは?」
「プレイ」
「冗談はやめて」
「俺が拒むからムカついたんじゃない?で、俺もムカついただけ」
「痛くない?」
「うん」
「いつからうまくいってなかったの?」
「秋頃かな、急に忙しくなってすれ違いも多かった」
「うん」
「俺はうさぎだから寂しいと死んじゃうから」
「クスッ、凶暴なうさぎだけどね」
「その通り」
「俺がいるよ、何でも話して」
「話してる」
「そっか」
俺は笑っていた
悲しくも無い
「和海の話をされたんだ」
「うん」
「おもちゃを欲しがる子供みたいだった」
「後悔してるの?」
「していない」
「ならいいんだ」
「もう少し眠ろう」
「そうだね」
いつも仕事をしている凛が今日は何もしないで隣にいてくれた
必要以上の会話もして来ない
今の俺にはそれぐらいが丁度いいんだ
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