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ー出会いー
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俺達三人はお気に入りの服を着て食事を楽しんでいた
「楓、ワインは?」
「うん」
「アサ、俺キャビア食べたい!」
「お前なぁ・・・いくら休みだからと言って」
「お願い、アサ~」
「しょうがないな~、待ってろ」
今夜は特別な晩餐
食べたいものを食べて飲みたいだけ飲む
「晩餐にしては少し早くない?」
「気にしない」
「だね」
時計の針は午後三時
俺達はテーブルを囲み、笑っていた
「お待たせ!」
「ありがとう」
「と言うか今日は仲良しお食事会か?」
「そうだね」
「楽しそうでなによりだ」
「アサ」
「ん?」
「ヨルと仲良くね」
「いきなりどうした?」
「何となく、気にしないで」
「そっか」
凛はいつものように笑顔で会話していた
「お腹いっぱい!」
「食べ過ぎたね」
「でも満足」
最後のワインを飲み干したと同時に立ち上がり歩き出した
海岸に座り、いろんな話をした
「俺達の生き様って結構強烈だよね?」
「そうかもね」
「別の場所で知り合っていたら心から笑えたのにね」
「それ・・・俺もそう思う」
「燕羽、彰の事話して欲しいな」
「知ってたの?」
「うん」
「泣いちゃうかも」
「泣けばいいよ」
「だね」
そう言って燕羽は彰の話をしてくれた
復讐は間違いなく出来るはず
あのままにしておけばいずれ死ぬ
「まだ好き?」
「好きだよ、おかしな事言ってもいい?」
「俺達はもうおかしいんだよ」
「だね」
そう
俺達はもう修復不可能
心まで深くひびが入ってしまった
人を殺すのは罪
一生背負って生きていく自信がない
「あのさ、出来る事なら時間を戻したい・・・もう一度人生をやり直したい、なーんてね」
「やり直したいか・・・そうだね」
「普通の生き方をしたかったね」
「今度は男に騙されないように!」
「あははっ、そうだね・・・楓のライブも観たかった」
「うんうん」
「俺、ステージの上から凛と燕羽を見つけるよ」
「絶対だよ?」
「うん」
出来もしない夢物語を話す俺達
無理だと分かっているから笑えるんだね
「凛は何か言い残す事は?」
「そうだな、出来れば燕羽と彰君と友達になりたかったかな、同級生ってやつ」
「いいね!絶対親友になれるよ」
「うん、そう思う」
「楓は?」
「そうだな、時間がもし戻せるなら・・・絶対彰を止めるかな」
「それ大事!」
「うん」
その後も夢物語は続いた
三人で笑いながら最後の時を過ごしていた
「さて、そろそろ行こうか」
「うん、でも怖いから絶対手を離さないでね」
「もちろん」
俺達はしっかり手を握りしめて海を見つめた
そう
俺達が選んだのは死
言い方を変えるのなら新しい人生
もう俺達は壊れてしまったから、心が真っ黒だから生きるのは辛い
愛する人を殺した罪は償えない
「じゃ、また会おうね」
「うん、また」
「待って!空の色が」
燕羽が突然言った
空の色?
「凛、イルカが見える?」
「イルカは見えるけど」
「違う!そうじゃない」
「どうしたの?」
「嘘でしょ・・・待って、えっと・・・」
「燕羽?」
何を慌てているんだろう
大きな独り言が続いていた
「時間を戻して!」
その声を聞いた瞬間、目の前が真っ暗になった
死ぬってこういう事なのかと意外と冷静に考えていた
目を閉じていても眩暈がする
でも、握りしめた手の温もりはそのまま
そして何も考えられなくなった
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