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side 桐生
何度も起きては吐いて起きては吐いてを繰り返している隼人の様子を知った西条に呼ばれて脳外科にいるのだが。
悪い予感しかしない。
「桐生先生。これは一つの可能性でしかないのですが」
悪い可能性なのだろう。
「隼人くんの脳を調べたことはありますか?」
「いや、ない。心臓疾患だから、その周辺しか検査はしていない」
「隼人くんの症状を少し見た程度での判断ですので可能性は低いと思いますが」
なんだ。
「彼は、脳に腫瘍があるかもしれません」
………………。
「原因不明の激しい頭痛と繰り返す嘔吐。心臓疾患の検査でも血液検査はしますよね。脳腫瘍は他のガンと違って見つかりにくいこともあるのです。記憶が混濁したこともまた、僕にそう思わせた原因です」
「脳腫瘍………」
「心の病気にしては症状が明らかですし、一度脳外科でも検査してみたほうがどちらにしてもいいと思います。心臓疾患と一緒になって分かりにくい部分もあったのかもしれませんから、どうかご自分を責めないで」
脳腫瘍っておい。頭痛なんてそんじょそこらの頭痛なんかとは比べ物にならないくらいの痛みがあるっていうじゃないか。
それを、見逃しただと。
俺は、なんて酷い事をしていたんだ。
いつも見ていてなぜ気付かない。
言われてみれば当てはまってばかりだ。
チラッと見ただけの人間が気付けたことに、なぜ俺は気付けなかったんだ。
隼人にどう説明すれば…。
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