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また、気付いたら朝。
でもまだ頭が重い。
キリちゃん帰っちゃったかな。
喉乾いた。
重たい体を起こして棚にしまってあるペットボトルの水を取りに行こうと床に足を着いたらちょうど飯窪先生が入ってきた。
「わっ、隼人くん!どうしたの?ナースコールしてよ…」
慌てて俺の体をベッドに戻してわたわたしている。
「あ…喉乾いて…」
「お水ね。はいどうぞ」
飯窪先生はキャップを開けて渡してくれた。
けど、ちゃんと受け取ったつもりが、ペットボトルは俺の手からストンと抜けて床に落ちてしまった。
ボトッ
「あ…」
フタが開いてるからドボドボと水が溢れてしまって申し訳なくなる。
「ごめんね、ちゃんと渡せてなかったね」
そう言って新しいペットボトルを渡してくれた飯窪先生。
今度はちゃんと持たなきゃ。
「…持てる?」
両手でぎゅっと力を入れているつもりなのに、その手は何も掴んでいなかった。
「………持てない」
「飲ませるから口開けて」
吸い飲みと呼ばれる水飲みの道具に水を入れて飲ませてくれる飯窪先生は嫌な顔ひとつしない。
高校生にもなる年齢なのに水も飲めないなんて。
床にこぼした水も片付けてくれてお医者さんは大変だと改めて思った。
余計な仕事増やされてイラッとするだろうな。
「体調どう?」
「……頭が重い」
「頭が重い、と。体は?桐生先生、一時帰宅中だから俺が検診するね」
台帳にメモしながら話す。
「…お願いします。体も重いけど、それ以外は特に」
でも実は話すことすら結構だるいんだ。
できればもう少し寝ていたい。
10分程で終わる検診がやたら長く感じて苦痛だったなんて誰にも言わないけど、やっと解放されてボーッと天井を眺めていた。
腕を顔の上に挙げてみるとすごく痩せたと思う。
太ってたわけじゃないけど、こんなに細かったっけ?って。
あ…でも最近ご飯食べてないや。いつも点滴。
寝てるか検査してるかだもんな〜。
ぶっちゃけ生きてる意味あんのかな、って。
あれっ、自分何考えてんだろ。
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