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side 桐生
事態急変を知らせるブザー音が鳴り響いたのは深夜のことだった。
病室のベッドに横たわる隼人の体は酷い大汗でびしょ濡れ。
汗なのか、それとも違うものなのか、枕の目の横部分に大きなシミを作って顔を火照らせ、高熱に侵されている隼人が、そこにはいた。
41度を超える体温。
昏睡状態から突然発熱する事例は珍しい。
早急に解熱させなければ心臓発作を併発する恐れがある。
それに伴い呼吸困難、心肺停止、助かっても後遺症が残る可能性が高い。
一刻も早く熱を下げなければならないのに、俺は隼人の体に触れることさえできなかった。
「桐生先生!!しっかりしてください!」
触れてしまったら、次第に冷たくなってしまうのではないかと怖くなったから。
「1,2,3!」
自力で呼吸しているのを確認した乃木や飯窪が人工呼吸器を外して酸素マスク取り付け、非常用に準備していた簡易ベッドへ動かした。
元いたベッドは本当に隼人の体から出た汗だけで濡れているのかと疑うほど濡れていて、事態の深刻さを物語っていた。
それでもやはり動くことができないのは変わらなくて。
慌ただしく動き回る人間たちを呆然と眺めていた。
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