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side 隼人
『おはよう。キリちゃん、ちょっと老けたね?』
『そうやって大人を馬鹿にするのはやめたらどうだ』
『だって、ヒゲ生えてるから。おじさんに見えるよ』
『生やしているんだ。一つのファッションと言える』
『ない方がかっこいい。剃って。今すぐ剃ってツルテカにしてよ』
『ツルテカってなぁ』
『ねぇ、キリちゃん?』
『うん?』
『もう、会えなくなるなんて、ないよね?』
『当たり前だろう?ずっとここにいていい』
『ふふ、出て行けって言われても、しがみつくからね』
『転院なんて、二度とさせない』
『うん』
『寂しい思いをさせてすまなかった』
『ううん、大丈夫だったよ』
『怒ってないのか?』
『どうして?キリちゃんが俺のために考えてくれたんじゃない。怒るはずがないよ』
『お前は、優しいな』
『え?それはキリちゃんでしょ』
『もう一人にはさせないから、俺のことも、一人にさせないでくれないか』
『どうしたの?俺はここにいるよ』
『これから先、ずっと、そばにいてくれないか』
『いるよ、ずっと。キリちゃんも、離れて行かないで。お医者さん続けて?』
『続けるから、頼むから、こんな俺を許してくれ』
『へへへ、キリちゃん、どうして泣いてるの?何も、怒ってないよ。何も嫌じゃなかったよ。今、キリちゃんが隣にいるから、それでいいんだよ』
『ごめんな、隼人。ごめん』
『ううん、俺の方こそごめんね』
帰れなくて、ごめんね。
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