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絶望感を抱きながら。
泣きたい気持ちを抑えながら。
飯窪から借りた本を鞄に詰めて。
久しぶりの隼人に会いに行った。
『心臓…?って?』
『ここに手を当ててごらん?トクトクしているでしょう?これが、隼人くんの心臓』
『心臓……うん、トクトクしてる』
病室から漏れ出る隼人と院長の話し声に耳を疑った。
下手な演技なら今すぐにやめてくれ。
俺は、隼人に会いにきたんだ。
スライド式のドアを開けて隼人を見つめると、隼人もこちらを見た。
けれど。
「けむくじゃらのお客さん、、」
俺を指差して院長を見た隼人は、俺の知っている隼人ではなかった。
「…はは、今はけむくじゃらだけど、本性を現すとすっごーくかっこいい先生なんだよ。君のね」
「…ん?」
「ちょっとお話ししてみたらいい。悪い人じゃないから大丈夫だよ」
「えっやだ!ここにいて?」
「これこれ。大丈夫だって。主治医の先生だから」
「やだやだ!!怖い!」
隼人に本気で怖いと言われる日が来るなんて、少し前までは微塵も思っていなかったな。
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