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そろりそろりと伸ばされた腕は俺の指に触れた。
「……ふふ…やっと…会えた」
「…隼人?笑っているのか?」
「………へへ…大好きな、手。もっと、よく、…見せ…て…」
目は開いている。それなのに見えていないかのように自分に俺の手を引き寄せるのは何故。
「隼人」
「桜……触ったよ」
「…桜?もう桜なんて」
時期は過ぎた。
「柔らかくて…いい、におい………」
「隼人、何を言ってる?桜は咲いていない。目を覚ませ、今は眠くても目を開けろ!まだだ、まだお前は桜に触れていない!」
「…ぅん?手術…」
会話がちぐはぐ………。
「キリちゃんが…やってくれるん、でしょ」
「あぁ、俺が隼人の体を治す。だから今だけは、今だけは、目を開けていろ!」
「…起きてるよ………大丈夫……キリ…ちゃ…が…や、るなら、絶対、せいこ…う」
「隼人!隼人!!」
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