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side ハヤト
苦しい。お腹から喉が焼けるように熱い。
何かが込み上げてくる感覚。
一目散に洗面台へ走る。
『おぇぇ…っ……』
次々と溢れ出る血液に目が眩む。
膝立ちで洗面台にしがみつく。
震える手と今にも血の海に落ちそうな重たい頭。
ーーーあ、死にたい
ーーー死ぬなら、今だ
ーーーなにか、なにか
床に這いつくばって引き出しを開けた。
ーーーこれ、キリちゃんがたまに使ってたカッターとハサミ
ーーーこれで刺したら血が出る
ーーー死ねる
壁にもたれるように座ったら少しだけ楽になった。
カッターの刃を足に突き立てると赤い筋ができた。
『おぇ…』
ボトボトと流れる血液が赤くて綺麗に見える。
ーーーカッターじゃ、だめかな
『はぁ………はぁ……』
だんだん息がしにくくなって、このまま死に損なったことな何度もあった。
それじゃだめだから。
力一杯、銀色の細長いハサミを握りしめて。
右の太ももに振り下ろした。
ーーーイタイ
まだ生きてる。
痛いのは嫌だから。
早く死にたいよ。
早く死なせてよ、キリちゃん。
キリちゃん。
痛いの、楽にさせて。
痛くて震える右腕を左手が掴んで足に振り下ろす。
右足だけがなくなったみたい。
次はどこに刺そう、そう考えていたら段々と体が動かなくなった。
もたれた背中がずるずると横に倒れる。
嗚咽はないのに口から鉄の匂いのする液体がドバドバ出続けて身体中が水浸しになった。
キリちゃん。全身が痛いよ。
キリちゃん。これで死ねるかなぁ。
楽に、なれるかな。
キリちゃん、ごめんね。
キリちゃんのハサミ……汚しちゃった。
キリちゃん…助けて。
死にたくないよ
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