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ダンジョン
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全員の準備が終わり、ダンジョンの入り口前へ。
「あの、お願いがあるんだけど……」
俺は申し訳なさげに皆に話しかけた。
「どうした?」
「途中まででいいから、皆は見学して俺1人で戦わせてもらっていい?」
「キリ君、何でぇ?」
「この世界でまだ一度も魔物と戦ってないので」
世界が違う、それが命取りになることがあるかもしれない。今のうちに違いとかあったら修正しておきたかった。
「キリ1人に戦わせるのは」
「アル、時間かからないように倒すからお願い」
上目遣い&甘えた声でお願いする。アルは「仕方ないな」って言って許可してくれた。
ちょっと狡い手段だったけど、今の俺は無性に戦いたい。昨日の人を頭の中から消すためにも。きっと、あれは勘違いだよ。
「それじゃ出発っー!」
ティグさんの元気な声を合図にダンジョンの中へと入る。
中は真っ暗で何も見えなかった。
「【探知(サーチ)】」
明るくする前に罠がないか調べる。何もなかったので【点火(ヴァレスト)】で杖の先を炎を纏わせて明るくした。
懐中電灯ぐらいにしようかとも迷ったけど、ダンジョンの雰囲気も味わうため炎の僅かな灯にする。
奥にある階段を降りた。地下1階にいたのは、ダークスライム10匹ぐらい。黒いけど透けている。
「【光線(レイ)】」
黒い魔物は闇の可能性が高い。闇といえば光。
その原理でダークスライムの上から無数の光線を降らした。
避けることも出来ない量を降らしたので、ダークスライムたちは一瞬にして消え去る。
「わーぉ!」
「……早い」
「次々、行きますよー」
俺はスキップ混じりに次の下層へと足を進めた。
このダンジョンは闇属性ばっかりで、【光線(レイ)】を撃ちまくり、あっという間に地下25階前まで来た。
「キリ次はA級の魔物だ」
「僕たちも手伝うよぉ」
申し出は有難いけど……。
「取り敢えず、1発だけ最初に魔法を放っていい?」
【光線(レイ)】ばっかりでつまらないんだもん。それに、A級魔物が、どれぐらい強いか知りたい。
「だが、危険だぞ?」
「大丈夫! 心配なら、直ぐに戦えるように準備してて」
「……分かった。1発だけだからな」
「ありがとう」
お礼を言って、地下25階へと足を踏み入れる。中にいたのは超特大な蜥蜴が3匹いた。色は赤。
よし、闇から離れた。
俺は内心ガッツポーズをする。
火なら水だけど、ココを水浸しにしたらマズイよね?
「さ、3匹ぃ!?」
「キリ、悪いが俺たちも戦う」
ええー……。約束したのに。
3人は蜥蜴が3匹いたことに驚いてるけど、本来は1匹とかなのかな?
「【四大元素斬(エレメンタルスラッシュ)】」
3人が手を出す前に、蜥蜴3匹の首を目掛け放った。風、火、水、土の4つの属性を使う魔法は魔力を多く消費するから、あまり放つことはない。でも、約束は約束。
1人で倒したかった。
「……」
「……」
「……」
3人とも無言。固まったまま動かない3人を尻目に、蜥蜴から素材を頂いた。
「キリ君、もしかして余裕だったりするぅ?」
「……全部一撃」
2人が驚くのは仕方ないと思う。でも、アルまで吃驚してるは少し悲しかった。
だって俺の魔力が3億あるのは知ってるはずなのに。
3億あれば、これぐらいは……ね。
「俺、異世界人で元勇者なので」
ビシッと敬礼してみるが、3人は首を傾げた。この世界には敬礼ないのかな? または違う形とか?
「ということなので、次へ進まない?」
こんな所でウダウダするのも、どうかと思い先を促す。
「次からは俺たちも参加する」
「僕たち前回はここまでだったからね」
「……戦う」
それなら、俺は補助とか支援に回ろう。ここまで我が儘を聞いてくれたし、これ以上は言えなかった。
「分かりました。回復&支援メインでやります」
「ああ。頼む」
任せて!
意気込み次の下層へと行くが……、開かなかった。
「アイツら、まだ戦ってるのか」
「ええー!? 僕たちより先に行ってたよねぇ?」
「……遅い」
兎御一行が戦闘中みたいだから、仕方なく休憩にして昼食にする。
一服して、マッタリして……
漸く開いた時には、時刻は夕方になっていた。
「どうするぅ?」
「折角だから、行くか」
中に入る3人に支援魔法を掛け、俺も続く。
兎御一行が手こずった魔物は何かな? とワクワクしながら魔物を見る。
居たのは天井ギリギリまである土人形ゴーレム5匹だった。
ゴーレムか……。
土だから、一撃必殺で急所の核を攻撃しない限り治るという面倒な魔物だ。兎御一行が時間掛かったのも頷ける。
アル、マレーさんが近戦攻撃で斬り続け、後方からティグさんが矢を放った。だが、凄いスピードで斬られたところなどを回復してる。
急所の核を破壊すれば終わりだけど、その核が1匹1匹違うという。ゴーレムは土で出来るため素材も取れない。お金になるのは核だけ。結局、そこを破壊するのだから、意味がない。
とっても面倒で厄介な魔物だ。
「くそっ……」
「核ぅ何処ぉ?」
「【透視(クリアボヤンス)】、魔道具【チェイン】ーー【拘束(バインド)】」
土で覆われている中にある核の場所を調べ、どれがどれだか分からなくならないように魔道具【チェイン】を使い固定した。
「左から右胸上部、足の甲、臍(へそ)、左目、鼻に核がある」
本当、コイツら色んな所に隠してるよ。
「キリ君ありがとぉ。助かったよぉ」
「役に立てて良かった」
「キリ、あの鎖は何だ?」
僕は左手首にしたあるブレスレットを見せた。
「魔道具【チェイン】。性能は絶対捕縛、伸縮自由自在、増加可能、魔力吸収の優れもの」
性能を聞いた3人は驚いてる。
「何だ、それ!」
「反則だねぇ」
「……欲しい」
マレーさん、あげないよ! 幾つかある魔道具の中で一番のお気に入りなんだから。
「魔道具かぁー。高いよねぇ」
「魔鉱石が、ですか?」
「純度の高いのは買うの躊躇うよぉ」
3人とも鍛冶職人が作った武器を使用してる。しかし、長い目で見れば魔鉱石の方がお得。魔道具は壊れても呼び戻せば直るから半永久的に使える。
アイテムボックスのレッグバッグの中に純度100%の魔鉱石がいっぱいあるけど、ここで出すような物でもないし帰ってからでいいかな?
「よし! 帰るぞ」
「そぉだねぇ。夜は魔物が強くなるし戻ろぉ」
結局、兎御一行のせいで思うように進めなかった。アルが次の下層から進めるように専用の魔法陣を仕込み、帰還の魔法陣でダンジョンの外に出た。
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