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病院で診察してもらったら、ヒビ入ってた。
道理で痛いはずだよね。
看護士さんが腕を固定してくれた。
なんだか大袈裟に見えて、嫌だなあ。
診察室を出るとアキラさんが固定されてる手を見て、
「ほんと、我慢し過ぎやぞユノは!」
と心配された。
「ごめんなさい」
謝ったのは心配させた事とお金の問題。
通院しなきゃいけないと言われたから。
ううっ、一回につき掛かる費用に泣きそうだった。
「ユノ、こら、顔上げろ」
俯く俺の顔を無理やり手で上げるアキラさん。
「また悩んでるな?通院するんだろ?行かないとか言うなよ」
うっ、読まれてる……
つい、目を逸らす。
「俺に頼れ」
「でも、」
「頼って欲しかとぞ?こっちはさ」
そう言われて黙って頷く。
「お願いします」
「はい。了解」
アキラさんは頭をぐりぐりと撫でると会計しに行った。
アキラさんにたくさん迷惑かけまくりなのを反省。
病院指定の薬局でも薬代出してくれて、アキラさんの財布事情を心配せずにはいられない。
「アキラさん、早めに返していきますから」
車内でそう決意表明する俺。
黙るアキラさん。
あれ?
さっきは頭ぐりぐりしてくれたのに、もしかして本当は迷惑だったとか?
「アキラさん、あの、ごめんなさい」
不安になり謝る俺の頭にガシッと掴むように乗せられた手。
「ユノ、頼られたいって言うたよね?」
はい。確かに……
「金の事も気にすんなっても言うたよな?」
うっ…
「迷惑かけまくりだから」
俺は思った事を言葉にする。
「かけたのは迷惑じゃなかろ?心配。心配は恋人なら当然にするやろが、こんのばかちんが!」
最後の言葉の言い方が福岡出身のベテラン俳優、の真似っぽくて笑ってしまった。
「ごめんなさい」
「あー、だけん謝るなっち!」
「だって」
アキラさんを見つめると、
「あー、ちくしょーばり可愛いか!チュウさせろ」
なんて笑わせてくれる。
商店街近くになり、
「アキラさん駐車場こっちじゃないよ」
左折すると俺んちに行ってしまう。
「家に送るったい。街中じゃチュウ出来んし」
あーね。本気だったのか。
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