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「それからユノ、薬もちゃんと飲みなさい」
ばーんと目の前に置かれる。
俺は薬が嫌い。
マズいし。当たり前だけど…
粉は口の中にしぶとく残るし、錠剤は飲み込むのに勇気がいる。
食事終わりに飲めといわんばかりだよ。
雅美さんは俺の薬嫌いを知っているからね。
飲まなきゃダメなのかな?
食べたら嫌な事待ってるってなんだかなあ?
そのせいか食べるのがノロノロ気味。
「洗濯物干してくるから」
えっ?洗濯物?
雅美さんが洗濯機の方へ歩いていく。
「待って、洗濯物って、洗濯してたんですか!」
「してたのは洗濯機。僕は中に洗剤と洗濯物を入れてボタンを押しただけ」
振り返り真顔で答える雅美さん。
いや、そんな事を聞きたい訳ではない…。
「俺がしますっ」
「だめっ!その手でどうやって干すの?」
あっ…
確かに、片手じゃ難しいかも。
「うぅっ、ごめんなさい」
なんか、いっぱい……
「ユノ、ごめんなさいじゃなくて、ありがとうだよ」
雅美さんに微笑まれて、
「ありがとう…ございます」
と言葉にした。
「良く出来ました。じゃあ、ご飯食べて」
雅美さんはニコッと笑って俺を誉めると洗濯物を干しに行った。
ご飯を食べ始めたけど、薬って絶対に飲まないとダメなのかな?
うーん、考えて薬の袋を見つめる。
あ~、やっぱいいや!
俺は薬の袋から錠剤を出して、ピリッと銀色のフィルムを爪で破り、中身を出した。
手の平にコロコロと転がしながら考えて、
飲まない事にして、ポケットに突っ込んだ。
水だけを飲み干して、グラスを置く。
食べた終えた食器を重ねてキッチンへ運ぼうとした時に、
「ユノ、食器は僕が片付けるから」
雅美さんが戻って来た。
そして、空になったグラスと薬の小さい入れ物を見て、
「ちゃんと飲んだのか、偉いね」
微笑まれて心がチクンッ、
「うん」
「ユノ、薬嫌いだからさ、ちゃんと大人になったんだね」
頭を撫で撫で、
ううっ、ごめんなさい。
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