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何時もはのんびりな雅美さんが携帯電話片手に奧へと急いで行った。
もちろん、俺も後を追う。
奧の部屋で松信さんが倒れていて、
俺は驚いて立ちすくんでしまった。
こんな時ってどうして良いか分からない。
でも、雅美さんとじいちゃんはテキパキと動いて、
携帯電話を耳にした雅美さんはきっと救急隊の指示を聞いてるのだろう、
言われた事をじいちゃんに言っている。
そして、情けない事に俺は何も出来ない。
しばらくすると救急車のサイレンが聞こえてきた。
「ユノ、表に出て、救急隊を誘導して」
雅美さんの声に俺はアタフタしながら表に出た。
表に出ると救急車が商店街の中まで入って来ていたから、慌てて両手を上げて場所を伝える。
何事かと商店街の人たちが救急車を見ていて、店の前に停車すると、
大丈夫や?
じいさんや?
等、声を掛けられた。
違うとしか答えられない俺はかなりテンパっているんだろうな。
まもなくして松信さんを救急隊が連れ出して、
じいちゃんは俺と雅美さんに、
「後から連絡すっけん待っとけ」
と言葉を残して付き添って行った。
救急車がまたサイレンを鳴らしながら走って行く。
俺はまだドキドキが止まらない。
「とりあえず、中で待とう」
雅美さんに背中を押されて店に入った。
「松信さんね、心臓が悪くってね」
雅美さんは俺を椅子に座らせて、説明をした。
松信さんは元々は身体が丈夫な人ではないらしく、特に最近は医者に定期的に通っていて、次、倒れたら入院と言われていたんだって。
俺にはそんな事さえも分からなくて、
じいちゃんに会いに頻繁に来てたから元気なんだと勝手に思っていた。
「大丈夫だからさ、ユノ、そんな顔しちゃダメだよ」
雅美さんに頭を撫でられた。
「ごめんなさい、俺…あんま、役に立てなくて。雅美さんとかは凄くテキパキしてたのに」
何だか自分が情けなく思えた。
「そんな事ないよ、救急隊を誘導してくれた」
ニコッと微笑む雅美さん。
「それは雅美さんが」
「でも、誘導したのはユノだよ」
頭を軽くポンポンとされた。
雅美さんは優しい。
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