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落ち込む気持ちが元気になる。
「ユノ、まーっ」
凄い勢いでアキラさんが店に飛び込んできた。
「アキラ」
「アキラさん」
俺と雅美さんはちょっとビックリした。
「救急車が店の前に停まってるって聞いて」
慌てたようなアキラさんは俺を見て、
「ユノだったらどうしようって…」
少しホッとしたような顔を見せたけど、すぐに、
「運ばれたのはじいちゃん?」
と不安そうな顔に戻った。
「松信さん。じいちゃんがついて行ってる」
「松信さん?どこか悪かったん?」
「心臓がね。」
「そうか、心配だな」
「アキラ店は?」
雅美さんはアキラさんが手に持つハサミを指差す。
「あっ」
アキラさんは短く声を上げ、
「また、来るから」
慌てて帰って行った。
「アキラ、客を放置して来たみたいだね」
走って行くアキラさんの後ろ姿を見つめながら雅美さんは呟く。
「……慌てて戻りましたもんね」
「きっと、運ばれたのはユノかもって思ったんじゃないかな?かなり心配して送り出したから」
そう言われ俺は照れた。
もちろん松信さんも心配だけど、
あんな風に心配して来てくれるアキラさんを嬉しく思った。
不謹慎かな?神様ごめんなさい。
それから夕方近くなってじいちゃんから連絡が来た。
松信さんが入院するから、着替えを持って来て欲しいと。
「ユノ、松信さんの着替え取りに行くから店は早めに閉めるよ」
雅美さんは片付けを始め、臨時休業の貼り紙を入り口に貼り付けた。
「車で行くからすぐ戻るけど、ユノはアキラんとこ行って終わるまで待つといいよ」
「俺もいく!」
俺がそう言うと困った顔をした雅美さんに頼み込む。
すると、
「分かった」
頭をポンと叩かれ、微笑んでくれたので、ホッとした。
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