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そして【勝生勇利】
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「いや、嫌って訳じゃないんだけど…。僕、30分前にあなたに告白されて、付き合って30分しかたってないのにけけけけけけけ結婚なんて。」
「勇利、これを覚えているかい?」
そう言って彼が首から下げられた紐を胸から手繰り寄せると、その先にあったのは僕が前にあげたお守り…指環だった。
「yes…もちろん。」
彼が次に言いたいことは何となくこの時点で察していた。
あの日のセリフ、姿が目の前の彼と重なる。
「勇利、『「金メダルで結婚だよ」』。婚約は既に勇利から先に言われてしまったしね。結婚のプロポーズくらい、俺からさせてよ。」
そう言って微笑みながら僕の頬を撫でる彼に思考が働かなくなり口だけが金魚のように動く。上手い返しが思い付かない。
どれくらいたったのか分からない。
妙に長くぼんやりとしてしまった気がした。そしてやっと思考が働くようになって、僕は一つの返事を返す。
「ふ、不束者ですがよろしくお願いします。」
ありふれた返しだが、これが僕の精一杯の答え。
そんな僕に彼はいった。
「いいね!そういうの!大好きだよ」
満面の笑みを浮かべて。
END.
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