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その夜、事件は起きた。
ーーそう、眠れないのだ。
理由は二つ。
昼間寝たから、と
暗所恐怖症だから。
いつもはぬいぐるみを抱いて眠るんだけど、そのぬいぐるみは実家。
さっき消灯の時間が来て、明かりは消えた。
つまり、ピンチ。
残されたランプを頼りに辺りを照らす。
多分まだもつだろう。
ーーしょうがない。
行くか。
.
うぅ…怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。暗い。てかおばけもダメなんですよ。情けないって?自分でもそう思いますはい。
取り敢えず部屋を出てうろちょろしてみる。
誰か、助けて…
もう泣くよ!?怖い怖すぎ。暗い…
もう駄目だ。
力が抜けてその場にへたり込む。
手とか足とか色んなところが震えて気持ち悪いし、怖いし、暗いし、
あ、涙出て来たし…
「…誰?」
『ひっ…』
蹲っていたら、人の声がした。いやマジで怖いから。足音もしなかったのに!気配もなかったのに!!
だからおばけ無理なんだって!!!
とか考えながらも体の震えも止まらないし、思うように動けない。
不思議に思ったのか、その人(?)は近付いてきた。
今度は足音がした。
ガッと腕を掴まれて上を向かされる。
「…悠、さん?」
『う…ノアさん??』
「何で泣いて…」
あぁ、安心したらまた涙が…止まんねーや。
『うぅ…暗所恐怖症で、おばけ怖くて、暗くて怖くて…寝れなくて、歩いてたら…ひっく』
「そう…」
俺が泣き止むまで頭を撫でてくれたノアさん。優しすぎ。クールだと思ってたら神だったよ。
じゃあ、オレが一緒に寝てあげる。
気付けば抱き上げられて運ばれていたけど、不思議と悪い気はしなかった。ノアさんって背高いんだな…
.
ベッドに優しく置かれると、隣に寝たノアさん。ノアさんの部屋は簡素で飾り付けも何もなかった。俺の部屋と同じ。
「これで、怖くない」
『ごめんなさい…お見苦しいところを』
髪をかけ上げられた。しかしさらさらと落ちてくる髪。自分の髪なのに何故か綺麗だと思った。
『ノアさんって、凄く優しいんですね』
「…そうでもない」
あ、少し表情が暗くなった。
『そうだ!お礼しますね!!何がいいですか?』
「お礼?」
『そうです。ノアさんの願いなら出来るだけ応えますよ』
じゃあ…
と言葉を濁してそれ以降喋らなくなったから、顔を覗いてみた。
『ノアさん…?』
「…ーーノアでいい。敬語もいらない」
小さい声だったが、はっきり聞こえた声。聞いてて落ち着く声。
なんか今日はノアさんのギャップばっかり目に付くなぁ。
顔を赤らめたノアさんを見て思った。
『おう、じゃあノアって呼ぶ!』
「ああ」
ちょっとは親しくなれた気がする。
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