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何を弾こうって言っても思い浮かぶのは一曲だけ。
楽譜なしで弾けるのはその曲だけだから。
ポロン、鍵盤を押す。
懐かしい音だ。
一度弾きだすともう止まらなくて、俺は自分の世界に入り浸った。
ーーあら、素敵な曲ねぇ。
母さん、母さん。
俺、ピアノ上手になったよ。
何でも弾けるようになったよ。
ーーそうねぇ、あなたがこの曲を弾けるようになる頃にはきっと帰ってくるわ。
母さん、母さん。
俺、何度も練習したよ。
完璧に弾けるようになったよ。
ーー悠、お前にはピアノの才能がある。
おじさん。
そんなのいらないから母さんを返して?お金持ちなんでしょう??
ピアノ弾いてたら母さんは帰ってくるんですか?
ーー悠ちゃん、すごーい!!
ーー悠、ピアノを続けなさい。
ーー悠、貴方のピアノは人を幸せにすることができるわ。
ーー悠が楽しそうに弾くからついついお母さんも笑顔になるの。
ーー悠、そんなに寂しそうに弾かないで…
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