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a dream for the masked boy. (仮)
growing cracks
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僕は日本人だ。
多分。
「え、それ嘘だろ」って言われてしまえば、「ん....一応?」って濁る。
「何ていうか、見た目は100%日本だけど、中身はちょっとアメリカっぽい、かな。少しだけ、」でも自分をアメリカ人とは呼ぶことはできない。
どっちでもあり、どっちでもない。
何とも微妙な位置づけにしか自分を分類できなかった。
今まで分類しようとしたことがなかったのもあるが、
日本に初めて帰って来て、初めてこんなにもたくさんの同じ人種の集団に入った僕は、少し混乱していた。
簡単に言うと、いわゆる『アイデンティティークライシス』っていうものに、僕は陥っていた。
聞くと、帰国生には少なくないらしい。
アメリカの事も日本の事も、周りとは違う形で知っていたり、
いろんな経験や知識を持っていることに、帰国生である事には、少し誇りがあった。
でも、その『違い』が原因で、
学校では悪目立ちして、馴染めずにいた。
「何だよ、日本人のくせに」
「そんな事も知らねえの」
「日本語が下手くそのくせに、英語が外人並とかキモっ」とか。
何で僕がそんな事を言われないといけないのだろうか、腑に落ちなくて。
言われっぱなしなのも嫌で、酷い言葉には屈したくないプライドで、
強くあれば、そのうち言われなくなるだろうと信じて、
気にしていないかのように振舞っていたら、逆に悪化し始め
挙げ句の果て、
「いっそアメリカに帰りやがれ」って突き飛ばされた。
浮いたまま、友達もできずに、あっという間に一年が過ぎた。
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