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ラニアン襲来-3
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「今日は誰のレッスンなんですか?」
「……」
漣人と並んで信号待ちをしている律耶の視線が、ペットショップのポメラニアンに止まった事で全てを察する。
「あ、小野田先輩か」
「……」
律耶の苦い表現を見ているだけで、どれだけ苦手なのかヒシヒシと伝わってくる。
律耶との共通の話題といえば、ピアノやサークル関連のネタが多い。
凪の話を持ち出すと律耶が焼き餅を妬くのでそこを避けていくと必然的に他の部員の話なんかが多くなる。
その中で問題児として名前がよく上がるのが約2名居る。
1人は現在行方不明中となっている「柔道部の猛者」。もう1人がポメラニアン小野田だ。
小野田は律耶たちと同じように幼い頃からピアノを続けていて、律耶や凪とはコンクールを通じて顔見知りだった。
高校までは他県の学校に通っていたけれども、大学では漣人たちと同じ学校に来てピアノサークルにも入会した。
片思いしている律耶の後を追ってきたと噂する部員も居るけれども真偽の程はわからない。
律耶に取り入って個人レッスンを付けて貰おうとしたり、律耶の周りを彷徨いたりする人間には容赦しない。
律耶から別の意味で泣かされたという噂がサークル内に流れているのも本人の策略らしい。
それが全部事実なら小野田というのは相当ねちっこそうだ。
「何がしたいんですかね、小野田先輩は」
「さあな。犬の考えることは俺にはよくわからんよ」
小柄で目のクリクリっとした愛くるしい容貌から「ラニアン」とか「ポメ田」とか渾名を付けられている。
「ペットの犬みたいな顔してても、中身は蛇も顔負けの執念深さだからな」
「ほえ~」
「そういう奴だからお前もあまり人気のない所とか彷徨くなよ」
「へーい」
自分がラニアンだかポメ田だかのターゲットになりかねないと言われてもいまいちピンと来ない。
そもそも当の小野田と直接話した事すら数える程しかない。
ぶっちゃけよく知らない相手に狙われてると言われても困るし、自分には敵意を向けられる理由がない。
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