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ラニアン襲来-5
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「明日の教室は……っと」
南棟の1階にある掲示板を1個丸々使って集中講義の予定表が貼り出されている。
「新館か~」
セントラルタワーは他の古い建物と比べてエアコンの効きが飛び抜けて良い。
(ラッキー)
今どき扇風機しかないような教室でやる講義を選ばなくて良かった。
これで心置きなく新館に行って存分にカキ氷タイムを堪能できる、と入り口を出てふと立ち止まる。
掲示板の前に集中講義のレジュメが山積みになっているのが目に入った。
集中講義を受講する学生は初日の授業が始まる前にレジュメを受け取らなければならない。
明日は新館なのだからわざわざこっちへ来るのも面倒だし今貰っていった方がいい。
もう一度掲示板の前へと引き返して、積み上げられたバインダーの中から目当てのものを探す。
「何これ?」
漣人の講義のバインダーはすぐに見つかったが、挟まれていたのは講義のレジュメではなく1枚の紙切れだった。
レジュメは南棟地下1階のB108号室に用意してあるので各自取りに行くようにと書かれている。
(面倒くさいなー)
早くカキ氷を食べに行きたいのはやまやまだけど、明日の朝から取りに行くのはもっと厄介だ。
渋々入り口脇の階段を下り始める。この建物では今日は集中講義がないので、人の気配を殆ど感じられない。
各研究室には誰かしら居るのだろうけど、廊下はシーンとして自分の足音だけが木霊する。
(B108……B108……ここか)
木製の古い引き戸をノックしても返事がないので、勝手にガラガラと戸を開けた。
中は6畳ぐらいの狭い部屋で、真ん中に机とソファーがあって両脇の本棚には専門書がビッシリと詰め込まれている。
「これか~」
件のレジュメは机の上に用意されていた。
何でこれをわざわざ取りに来させるのかと問い掛けたくなる何の変哲もないプリントを1部鞄に仕舞って後ろを振り返った。
(あれ?)
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