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ラニアン襲来-6
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(戸……閉めたっけ?)
レジュメを取りに来ただけだから開けっぱなしで中に入った筈なのに、何故か戸がピッタリと閉ざされている。
「え?」
入る時にはスッと開いた引き戸が、スライドさせても全く動かない。
ガタガタやっていたら5ミリぐらいは動くようになったけど、それっぽっちじゃあどうしようもない。
(何で?)
誰かがうっかり戸締まりをしてしまったのかと思ったけど、鍵は開いている。と、いう事は建て付けが悪いのか。
左右だけでなく上下に揺すってみても開く幅は全く変わらない。
(まさか……)
律耶の危惧していた事態はこれなのだろうか。
考えたくはないが、ラニアンの仕業ではないかといえ疑いがむくむくと沸き上がる。
戸が外に付いている引き戸なので、外側から棒か何かでつっかえられていたらおしまいだ。
地下にある部屋は窓も上の方に明かり取りのものが付いているだけだから脱出口はこの引き戸しかない。
「あ……」
無理に出ようとしなくても文明の利器に頼ればいい。
鞄の中からスマホを取り出して愕然とする。
(何で圏外……)
毎日毎日TVのCMでは各キャリアが繋がりやすさを競い合っているのに、よりによって……。
(……)
ダメ元で窓際に寄ってみても表示は変わらない。
この段階でようやく危機感というものが芽生えてきた。
(ピンチ……ってやつ?)
集中講義のレジュメはあと数部残っているから最悪明日の講義までには誰か来るだろう。
けど、この部屋で1夜を明かすのは正直遠慮したい。
(とりあえず)
セオリー通りに木の扉を拳でドンドンやってみるけど誰も来てくれる気配はない。
音を立て続けたらいつは誰かが気付いて来てくれるかもしれないけど、長期戦になるなら体力は温存しておきたい。
それに、もしかしたら今日の集中講義が終わってから誰かレジュメを取りに来てくれるかもしれない。
とりあえずソファーに腰を下ろしてチャイムが鳴るのを待つことにした。
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