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シマジロウ温泉-6
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脱衣所の壁に、さっきテレビで出てきたようなシミがあってドキッとしたが、それ以上に別件のドキドキが止まらない。
恋愛ごとにはヘタレな律耶の事だから勿論そんなつもりで言ったのではないだろうけど、風呂が済んだらその次は……と考えてしまうと、ついつい全ての動作がのろのろになってしまう。
特にあんなフェロモンだだ漏れの律耶を目にしてしまうと意識してどうしようもない。
(いや、ちゃんと決めたことだから)
二人で旅行に出掛けることが決まってから今日に至るまで、漣人は悶々と悩み抜いてきた。
普段は俺様な律耶もこういったことになると途端に晩生になるので今日こそは関係を進めたかった。
律耶が手を出してこないのは漣人を気遣ってのこと。
漣人の気持ちは律耶に伝わっているはずだ。
頬に口付けをした翌日律耶の部屋を訪れると、食べていた赤飯を真っ赤な顔で隠していたから。
(フフ)
せっかくだから赤飯をいじっておけばよかった。
『何かいいことでもあったんですか?』とか聞いてみたら頗る面白い顔が見られただろう。
(また赤飯食べてくれないかな)
そのためには自分から次の扉に手をかけなければならない。
(今日こそは)
勇気を出して今日こそは律耶との関係を大きく前進させるんだ。
風呂場で悩みすぎて逆上せてしまい、冷たい水を求めて湯船から上がった。
鏡の前を通ると自分の姿が目に入ってしまったが、どこからどう見ても男であることは変わらない。
自分の全てをちゃんと受け入れて貰えるかとか、初めてはやっぱり痛いのではないかとか悩んでいるうちに頭が痛くなってきた。
それでもいつかは部屋に戻らなければならないので意を決して襖を開けた。
(え?)
あれだけ深く悩んで覚悟を決めたにも関わらず律耶はすでに自分の布団で寝息を立てていた。
(ま、まだ11時なんですけど)
今まで悩んでいたのは何だったんだろうと馬鹿らしくなって律耶に背を向けて自分の布団に潜り込んだ。
(あーあ)
思わず溜め息が出てしまう。
あれだけ頑張って決意を固めたのに。
(また振り出しか)
期待はずれでがっかりすると同時にどこか少しだけホッとしてしまった。
(これじゃあ先輩のこと笑えないな)
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