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シマジロウ温泉-7
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(寝られない……)
充電中のスマホを見ると12時を回ったところ。
いつもはまだテレビを見ている時間だから全く眠くないのも当然だ。
しかもさっきから雨が降りだしたのでその音が気になって仕方がない。
木造家屋なので外の雨音がとてもよく響くのだ。
(あ、何か眠くなってきたかも)
規則正しい雨のリズムがまったりとした空気を誘い、次第に夢の中に引っ張られて行く。
(ん? 今何か)
一瞬部屋の中が明るくなった気がして目を開けるが、豆球が点いているだけだ。
(気のせいか)
再び目を閉じようとしたタイミングで、耳をつんざくような轟音が響き渡った。
「うわっ、雷っ」
雷はそこまで苦手な方ではない漣人でも、不意打ちには弱い。
思わず大声を出してしまってから自分の家でないことを思い出して口に蓋をした。
起こしてしまわなかったかと、律耶の布団を覗き込むと平和そうによく眠っている。
(良かった、寝てる。ん? 寝てる?)
ちょっと見ただけではわからないが、よくよく見ていると稲光が部屋の中を照らし出すタイミングに合わせて布団がピクンと上下している。
(この人は……)
漣人は起き上がると律耶の布団の傍らに座り込み「先輩」と耳元で囁いた。
「!」
寝ていた筈の律耶が電光石火の速さで振り向いた。
狸寝入りしていたことなんてバレバレだ。
「寝られないんでしょう?」
漣人は穏やかなトーンで語りかける。
「一人で我慢しないで下さい。俺と居る時ぐらい無理に耐えようとしないで頼ってください」
律耶の手を取ると優しく包み込む。
「こんなに冷えちゃって……」
少しでも体温をわけてあげようと、指の腹で手の甲を擦る。
「そうだな。雷が止むまでこうしててくれるか」
「はい、大丈夫ですよ。すぐに治まります」
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