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辛い大根にご用心-1
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今日は凪が帰国する日。
律耶は口では面倒くさいと文句を言いながらも空港まで一緒について来た。
人の多いところは好きではない漣人も空港の雰囲気だけは別で何故かワクワクする。
「あ、見つけた! おかえりなさい、凪先輩」
「ただいま、漣人。暑いからここまで来るの大変だったでしょ?」
「ううん、そんなことない。凪先輩、ウィーンはどうでした?」
「日本より涼しくて過ごしやすかったよ。でも漣人がいないから退屈だった」
(来年は、俺も一緒に……って何か大事なことを忘れているような……)
そーっと後ろを振り向くとどことなく不満そうな律耶の顔があった。
(け、決して忘れていたわけじゃないんですよ)
「あれ? 律耶も来てたんだ。この暑い中律耶がわざわざ外に出るなんて雪でも降るんじゃない?」
「俺がいちゃ悪いか」
「またすぐそういうこと言う!」
オーストリアに出発する前は犬猿の仲だったはずの2人の様子を見て凪は一瞬不思議そうな表情をしたが、荷物が出てきたのですぐに手荷物カウンターに歩いていった。
「もうー。何ですぐ凪先輩に突っかかるんですか」
「それはお前が……」
律耶は何か言いかけて、ふいっと横を向いてしまった。
すぐに凪がスーツケースを転がして戻ってくる。
「2人はご飯食べたの?」
「まだです。凪先輩は?」
「うん。一応機内食が出たことは出たんだけど、あんまり口に合わなくてね」
タイミングよく、飲食店の載ったパンフレットが挿してあるラックの前を通りかかった。
「そうだね、漣人は何が食べたい?」
「凪先輩は? 久々の日本なんだから食べたいもの言ってください」
「特にこれといってないんだよね……律耶は? 何か食べたいものないの?」
凪から手渡されたパンフレットに一瞬だけ視線を落とした律耶はすぐに顔を上げた。
「うなぎ」
「うなぎ?」
「と、寿司と中華と揚げ物以外なら何でもいい」
(って、かなり絞られてくるんですけど……となると、残りはパスタか蕎麦かパスタかパスタか……何だここのテナントのパスタ率の高さは!)
思わずパンフレットに突っ込みをいれてしまう。
「昨日の夕食パスタだったから蕎麦の方がいいですか?」
昨夜は律耶お手製のパスタを頂いたし凪も久々の日本なので洋食より和食がいいとのことで蕎麦に決定した。
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