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辛い大根にご用心-2
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お店に着くと大きな問題が生じた。
果たして漣人は何処に座るべきなのかということ。
今までなら迷わず凪の隣を選択していたが、律耶と恋人同士になったからには律耶の隣に座ったほうがいいのではないか?
中華だったら円卓でまだマシだったのに、蕎麦屋はそうはいかない。
(誰だ、中華は嫌だと言ったワガママは)
隣の律耶に恨み言を言いたくなる。
4人掛けのテーブルに案内され、案の定律耶と凪が向かい合わせで座った。
一瞬全ての思考が止まったがすぐに凪が助け船を出してくれた。
「荷物あって狭いから、漣人は律耶の方座りなよ」
(スーツケースさんありがとう)
無事に3人が着席するとすぐにお茶とメニューが運ばれてきた。
蕎麦を食べに来るのは久しぶりなのでメニューを見るだけでも楽しい。
(どれも美味しそう)
漣人が選択したのは『おろしたて辛味大根蕎麦』。凪は『旬のお刺身とせいろ蕎麦の和膳』を、律耶は『天ざる蕎麦の和膳』をそれぞれ注文した。
(揚げ物はいやなんじゃなかったのか、この人は)
どうにも気になって凪が手洗いに立った隙に聞いてみたら「天麩羅は揚げ物じゃない」という答えが返ってきた。
漣人の中で律耶が更によくわからない人になった。
すりおろすのに時間がかかるからだろうか、辛味大根とおろし金だけが先に運ばれてきた。
ひんやりとした辛味大根を擦ってみるとこれがまたなかなか楽しい。
漣人が大根おろしに没頭している間、凪と律耶はピアノの専門トークに花を咲かせていた。
ウィーン留学中に凪が見聞きしてきた事を律耶が興味深そうに聞いている。
3人での会話になるとボロが出そうで心配していたから密かにホッとした。
ちょうど全部擦り終わったところに漣人の注文した蕎麦が運ばれてきたので大根をたっぷりと載せた。
先輩を差し置いて自分が先に箸をつけるのはと食べるのを待っていると凪が「食べなよ。伸びるよ」と言ってくれたのでいそいそと箸を手にする。
「いただきます」
手を合わせてから、たっぷりと大根おろしが載った蕎麦を口に頬張った途端、衝撃が脳天を突き抜けた。
「か、辛っ」
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