アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
辛い大根にご用心-3
-
(何だ、この辛さは!?)
目からジワジワと涙が溢れてくる。
こんなに辛い大根おろしは未だ嘗て食べたことがなかった。
口から出すわけにもいかないので無理矢理お茶で流し込んだ。
「ちゃんと説明読まないからだ。ここに『入れすぎ注意』って書いてあるだろ」
律耶の指差す先には、目から火花を出した大根の絵が描かれている。
「あ……」
大根可愛いなとぼんやり思っていたけど、その言わんとすることまでは見ていなかった。
「それに、この袋は何のためにあると思ってるんだ」
大根と一緒にジッパー付きのビニール袋が置かれていたのにも今初めて気付いた。
「……もう全部擦っちゃったし」
擦りおろした大根を持って帰っても日持ちしないし、かといって全部食べるのは絶対に無理だ。
この状況は食べ物を残さないことがモットーの漣人にとっては大きなピンチである。
「しょうがないやつだな。半分引き取ってやる」
律耶は表情ひとつ変えずに箸で大量の大根を移動させた。
さっきから、突き刺さるような凪の視線に気付かない振りをしていたが、目を逸らし続けるのもそろそろ限界だ。
(凪先輩、何でもないんです。そう、何にもないんです)
しかし、ついに耐えきれないとばかりに凪の口が開かれた。
「……律耶、何か悪いもんでも食べた?」
「は?」
「だって今まで漣人にそんなに優しくなかったよね?」
(いや、その……あの……)
凪に問い詰められているのは律耶なのに顔が赤くなってしまうのが止められなくてとりあえず蕎麦を箸で突き回す。
そんな漣人の顔を見て凪がニヤリと笑った。
「漣人、それ俺にも一口ちょうだい」
「いいですよ」
大根を箸で掬って凪の蕎麦に載せようとすると、横から手を押さえられた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
52 / 54