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告白
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タイチは鋭かった。
そりゃ変だと思うのも当たり前だけれど、タイチは思っていたことを全部俺に言ってくれて「話さなきゃ」と思った。
「……半年前のある日……急に体調が悪化してね……」
ある雨の降る日だった。
昼食を摂っている時に突然咳が止まらなくなって、さっきみたいにこうやって血も吐いた。
嵐も凄かったから医師を呼んだんだけど医師が来る前にすごく熱が上がって生死の間をさまよった。
「…診断の結果、俗に言う『不治の病』で、俺の場合もう手遅れだった」
「………!」
小さい頃から身体が弱いということは自覚していたけれどまさかここまでとは思っていなかった。
自分のことなのにまるで他人事のように考えていたけれど、やっぱり俺の身体の中で何かが起こっているのは分かっていたから、自覚するのに時間はかからなかった。
「……この屋敷に来たのはつい最近のことなんだ。都会の空気より、自然に囲まれた空気の綺麗な方が良いってシュウが言ってきてね」
元の屋敷より遠く離れた所にフィクセン家の別邸はあった。
引っ越してから、悪化はしなくなって安定して暮らせるようになった。
「………不思議でしょう?でもね、ある日医者に言われんたんだ」
いつものように遠いところからやってきてくれる医者が深刻な顔で言った。
「……俺の命はあと半年ももたない」
26歳で俺の命は終わる。
頭の中が真っ白になった。
俺が1番恐れていたことだったからだ。死を宣告されることが。
「………もうヤケになっちゃってたくさん台所のお皿割っちゃった。考えられないでしょう?」
ひたすら悔しくて、悲しくて、辛くて。
なんで俺がこんな目に合わなくちゃいけないんだって、何回も思った。
「でもね、ふと頭に浮かんだんだよ。残りの人生馬鹿みたいに謳歌してやる!って」
そう。
いつまでも落ち込んでたらすぐ死んでしまう。
病気は気から、なんて言うしね。
「……そうしたらタイチが俺のところにやってきて、すぐに懐いてくれて……嬉しかった」
何も踏み込んで来ずにただ「ご主人様」として接してくれた。
それがとても嬉しかった。
「視界がこう……パァって広がってね。やっぱり生きたいって思えるようになったんだ」
死を待つよりもただひたすらに生きたいって思うようなことが増えた。
寿命なんて越えてやるってね。
「………頼りないなんて微塵も思っていないよ。むしろ感謝してる。俺に生きる希望を与えてくれた」
タイチの言うようにまだ出会って2日目。
でもタイチと出会ってから確実に何かが変わった。
「…………タイチ。こんな俺だけど、これからも隣にいてくれるかな………?」
タイチに愛をあげることができるなら俺は幸せだよ。
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