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許嫁
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アラン様が3日間休養日を取り、翌日回復なさった時にそれは起こった。
「………許嫁、ですか?」
「えぇ」
朝、仕事始めに滝川さんに引き止められ、話を聞いていた。
なんと今日はアラン様の許嫁である方がこの屋敷を訪れることになったらしい。
朝から屋敷内が慌ただしかったのはそのせいか…と気づく。
「なので貴方には今日1日アラン様の専属執事を務めて頂きます」
「……っほ、本当ですか!」
「………えぇ」
何故か滝川さんは一歩後ずさる。
「…専属といっても今日1日だけです。しっかり務めを果たすように」
「はい!」
アラン様の傍に居れることが何よりも楽しみで嬉しかった。
「………アラン様。お召し物を」
「…………うん………」
少し暗い表情。
「……どうかなさいましたか……?」
「…………タイチ、怒ってない?」
少し上目遣いでそう尋ねてくる。
「……許嫁がいるって…言ってなかったでしょう……?怒ってるよね……?」
「………怒ってなんかいません」
「…本当…………?」
「怒っていない」と何度も言っても疑われているようなのでゆっくりと近づいて髪にキスを落とした。
「……!」
「全然気にしていないといえば嘘になりますが……私が何を言っても変わりませんし」
突然ギュッと前から抱きしめられる。
「…俺はタイチしか好きじゃない。タイチしか好きになれないから!」
眩しいくらいの笑顔が俺に向けられた。
「………アラン様」
「ん〜?」
着替えを手伝っている間、ある提案をしてみた。
「……今夜、部屋にお邪魔しても宜しいでしょうか…?」
「ふふ、夜這い?いいよ」
アラン様は少し顔を赤らめて微笑む。
自分の顔も暑く火照っていた。
「アラン様〜!!」
「……う……マーガレット……」
玄関に入るなり突然アラン様に飛びついたマーガレット様。
そうか……彼女が……
「久しぶりですわね!お元気でいらした?」
「うん……元気元気……」
グイグイと迫ってくるマーガレット様に引き下がられるアラン様。
アラン様がここまで困っている姿を目にするのは初めてかもしれない。
「あら?アラン様。あの方は?」
「あぁ…彼は日本から来た執事のタイチ。俺の専属執事なんだ」
「へぇ〜」
リアン様は興味津々といったふうに俺に近づいてくる。
「マーガレットよ。初めまして」
「風見太一と申します」
頭を下げると、うふふと笑う声が聞こえた。
「日本人の執事はうちの屋敷にいないから新鮮だわ!仲良くしてね!」
「…!恐縮でございます」
まさかこんなことを言われるとは思っていなかった。
「さぁ!アラン様!沢山お話したいことがありますの!」
「…うん、聞くよ」
顔をあげた時、アラン様の気に入らなさそうな表情が目に映った
「タイチは紅茶を淹れてきて」
「……はい。畏まりました」
アラン様の機嫌をご損ねてしまったかもしれない。
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