アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
彼の元へ
-
「そのときね!こんなところで何してらっしゃるんですかー!って追いかけ回されて…!」
「ははは、マーガレットも昔からお転婆な所は全く変わっていないな」
中庭のベンチでおふたりは仲良く談笑なさっていた。
マーガレット様といらっしゃる時のアラン様は少し大人びて見える。
俺より年上だから言い方がおかしいかもしれないけど、いつもはかっこいいより「かわいい」と思える方が多いのだ。
「………アラン様。紅茶の用意ができました。」
「…あぁ。ありがとう」
アラン様はそう短く返事をなさって、またマーガレット様と話を続ける。
「アラン様だって全く変わっていませんわ!」
「……私が?」
「ええ。だって昔から優しくて、楽しそうに私の話を聞いてくださるんだもの!嬉しいですわ!」
「はは、照れるな……」
あぁ、そうか。
俺しか好きになれないと言ってくださったけれど、アラン様には許嫁がいらっしゃる。
アラン様の言葉を疑った訳じゃない。
でも…後継とかの事とかを考えると俺といるよりマーガレット様と結婚なされる方が幸せになれる。
何でこんな簡単なことに気づかなかったんだろうか。
「……………」
幸せそうに2人で微笑み合う姿を離れて見守っていた。
「それじゃあアラン様!また来ますわね!」
「あぁ。いつでも待っている」
夕食をこちらで召し上がった後、マーガレット様はお帰りになった。
「アラン様、この後どうされますか?」
「………………待ってる」
そう小さな声で返された後、部屋に入られた。
「……………」
今日1日ずっと目を合わせてくれようとして下さらなかったのに私の提案したことはちゃんと覚えていて下さっていた。
「………早く終わらせよう」
ちゃんと会って話をしよう。
俺と居てはアラン様は本当に幸せになれない、ということを。
マーガレット様がいらっしゃるということを。
「……早く仕事を切り上げたい、ですか?」
「……はい……」
いつも仕事を終える時間に伺うとアラン様が体調を崩してしまうと思い、滝川さんにお願いした。
「……何か用事でも?」
「……アラン様に呼び出されておりまして……」
誘ったのは自分の方なのだが。
「………くれぐれも体調が崩されることが無いようにして下さい」
「………!ありがとうございますっ!」
早くアラン様の元へ走っていきたかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
12 / 31