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ハネムーン 8 (士郎side)
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一転してシン……と静まり帰ったロビー。
ハッと我に帰り、震えるほどの羞恥に襲われた。
いったい自分は何をやった……?
「……っ」
悲鳴を呑み込んで、震える脚で後ずさる。
誰かにぶつかり、肩を支えられた。
途端に、腕を引かれた。
「……っ」
カードキーを受け取った龍之介が、不機嫌に言い放つ。
「……簡単に触らせてンじゃねェよ。そのカラダのどこもかしこも、オレんだろ……?」
胸の奥をギュッとつかまれたようで、言葉にならなかった。
エレベーターホールに着き、その内の一つに乗り込むと、壁際に押しつけられ、再度強引に唇を奪われた。
三方向が鏡の造りの箱のそこかしこに、溶けた表情の自分が映っている。
恥ずかしくて情けなくて目を背けたいのに、自分をむさぼる龍之介があまりに色っぽくて、視線は縫い止められたままだ。
自然、自分の痴態も否応なしに見続けることになる。
自分はいつもこんなトロけた表情をして、龍之介を求めているのか……。
舌を吸い、甘噛みしながら、龍之介が喉の奥で含むように笑う。
「……な? 最高にソソるだろ……?」
唇を解放されたかと思いきや、今度は耳元で直接、毒のように甘い声を流し込まれ、脳の奥が震えた。
痺れは全身に広がり、立っている脚にさえ力が入らなくなる。
「……ンとに、この声に弱ェよなァ。今度本格的に開発すっか。声だけでイケるようにしときゃ、何かと便利だ」
耳朶を指先で揉まれ、中の産毛を舌先で震わされると、もうダメだった。
「……っ」
崩れた身体を、余裕の腕に抱きとめられた。
屈辱感と圧倒的なまでの充足感に、目眩がした。
もうこのままこの世の果てまで奪い去って欲しい。
濡れて輝き、傲然と笑う、この薄くて大きな唇を得るためなら、自分は何だってするだろう。
崩れるこちらの腰を腕一本で悠々と支えた龍之介が、嬲るように楽し気にこちらの様子を見ていた。
悔しくて、切なくて、腕を伸ばした瞬間、エレベーターの動きが止まり、ドアが開いた。
「……っ!?」
乗ってきた数名の客の視線が、後頭部に突き刺さる。
身体を密着させ、脚を絡めた自分達がどう映るのかを思うと、冷や汗が流れた。
だが、すっかり反応し切った下肢のせいで、離れることもままならない。
表情を隠すように、龍之介の肩に額を押しつければ、あやすように首筋を撫でられた。
「……っ」
それだけで達してしまいそうなほどの甘い痺れが駆け抜ける。
腰が揺れ、同じく猛った龍之介の雄と擦れ合う。
「……っ」
「〜〜〜〜?」
客の一人が、訝しむというよりは心配そうに何かを聞いてきた。
全身が冷や汗で濡れたが、
「〜〜〜〜」
流暢な英語で龍之介が何かを返すと、和やかな空気と笑い声が場を包んだ。
やがて、乗ってきた客が先に降り、その後、目的の階にたどり着いた。
腕を解き、自らの脚で歩こうとしたが、もつれて壁際に倒れこんでしまい、笑った龍之介に抱き上げられた。
「な……っ!?」
なぜに横抱きなのかと抗議すれば、
「ハネムーンだからな。……まァ、好きにさせろ」
「ハネ……っ」
動揺のあまり、思い切り噛んだ。
「一瞬も離れてたくねェんだっつったら、さっきの客もお幸せに、って祝福してくれたぜ?」
もはや、何を返してよいのかわからない。
「ココじゃ、男同士なんざ当たり前だ。誰に遠慮する気も、させる気もねェ。……まァ、照れて悶えるオマエは最高にソソるから、オレとしちゃ、どっちに転んでも美味しいけどなァ」
「……っ」
「せっかくのリゾートの休日だ。楽しまなきゃソンだろ?」
やがてとある部屋の前で脚を止めた龍之介が、ポケットから取り出したカードキーを素早くカードリーダーに通した。
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