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ハネムーン 15 (士郎side)
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その後は肩を抱かれ、強引にビーチまで歩かされた。
心地よい夕暮れ時の潮風が頬を撫でる。
オフシーズンのプライベートビーチは、夕方になり家族連れが引いてしまうと休む人もまばらだった。
それでも未だ収まらない下肢をさらすのを躊躇していると、無理やりタオルを奪われ、ビーチチェアに放られてしまう。
龍之介が波打際に向かい、歩き出す。
そのあまりに美しい光景に、目を奪われた。
潮風に硬い黒髪をなびかせ、傷だらけの艶やかな浅黒い肌を夕陽が照らす。
まるで世界が龍之介の前にひざまずいているかのような。
百獣の王が束の間の休息を楽しんでいる。
「……早く来いよ」
差し出された手を拒むことなんて、できるはずもなく。
まるで魔法にかけられたかのように誘い込まれ、自ら望んで堕ちていく……。
手を引かれ、波打際を海に向かい歩いた。
地平線に近づくたびに、足元の砂が波ですくい取られ、くすぐったさが走る。
オレンジ色に染まる世界に、龍之介と自分と二人きり。
それで世界がすべて完結するかのような。
これほどの充足感があるのかと、胸が締めつけられた。
不意に脚を止めた龍之介が、腰まで海水に浸かりながら振り返る。
その瞬間、茜色に染まった雲間から、幾重もの眩い光が地平線に差し込んだ。
その光景があまりに綺麗で、不意に怖くなる。
キツく手を握れば、抱き寄せられて、嚙みつくようなキスが降ってきた。
「……んっ、ふ…ぅ、…っ」
脚の間に龍之介の膝が滑り込み、背を抱いていた手の平が、肌と布の狭間を探る。
抵抗して腰を動かせば動かすほど、昂った雄同士が擦れ合い、余裕を奪ってゆく。
龍之介といると、いつもそうだ。
濃密な甘い闇に絡め取られ、いつの間にか逃げ場のない場所まで追い込まれてしまう。
それが、たまらない……。
身も心も本気でとろけてしまうのではないかと危ぶむほどに痺れ、慄き、震える。
自分が自分でなくなっていくような恐怖感。
それを遥かに凌駕する愛しさと充足感に、溺れそうだ……。
「龍之介……」
おまえがいる。
ただそれだけで、世界はこんなにも輝くのか。
龍之介が喉の奥で笑い、腕を引かれ、さらに沖へと導かれた。
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