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始動 1 (龍之介side)
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夜中にスマートフォンが音もなく振動した。
わずかな異変にも即座に覚醒できるのは、長年の訓練の賜物だろう。
隣で眠る士郎に、幸い起きる様子は見られない。
もっとも連日に及ぶ果てのない情交により、ギリギリまで体力を削っているのだから、無理もない。
上掛けがはだけて、肩の辺りの筋肉が見えた。
空港で久々に会った時にも思ったが、わずかに身体つきが変わったか。
もとより実践空手で鍛え上げられた美しい筋肉をしていたが、より引き絞られ、瞬発力を増したように見える。
己に課した訓練を、誰に強制されることなく淡々とこなせるのもまた、大きな才能だ。
自分と共に歩くために、たゆまぬ努力を重ねる恋人が愛しくてたまらず、人知れずひっそりと笑った。
本当は片時もそばを離れたくはなかったが、米軍基地内に忍び込ませた密偵から、直接情報を受け取る。
それこそが今回の旅の最大の目的であり、外すことのできない任務だった。
当初は他のメンバーが当たるはずだったところを無理やり奪い取り、スケジュールを限界まで切り詰めて士郎との逢瀬の時間を確保したのだから、成功させなければユーリあたりに何を言われるかわかったものではない。
なーに色ボケしてんだよ、と詰られるくらいならまだしも、あの古だぬきのことだ、いい口実ができたとばかりに、士郎と会うのを嬉々としてネチネチ邪魔してくるだろう。
もちろんユーリとて、バカではない。
こちらの本気を知っている以上、過度に邪魔すれば嫌気がさして組織を去りかねないと適当なところで手加減を加えるだろうが、これはもはやプライドの問題と言ってよかった。
士郎に関する限り、どんな横槍も入れさせない。
会うか会わないかは、自分が決める。
何よりこの男が関わる限り、自分は常より遥かに高く跳べるのだと世界中に示してやりたかった。
身勝手で独善的な衝動に突き動かされて、ひた走る。
追ってこいと、遥かな高みから悠然と告げるために。
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