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始動 5 (龍之介side)
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「とりあえず、立ち話もなんだ。中、入ろうぜ」
「オイ……っ」
馴れ馴れしく肩を抱かれたのはいい。
問題は、その触れ方だった。
指先が首筋をくすぐるように、イタズラに動く。
セクハラだの何だのと、固いことを言うつもりはなかったが。
さすがに今はそんな気分になれねェぞ、と腕をつかんだ。
すると、
「……アキラが惚れたてめぇに、興味がある」
見張りには聞こえないよう、低く耳元に流し込まれた。
「あれはオレのおもちゃだった。お気に入りを取り上げられて、溜まってんだよ。抱かせてくれんなら、お望みの情報は余さず流してやってもいいんだが、どーする?」
ニヤリと人を食った笑みで、見下ろしてくる。
笑っていても、グレーがかった青い瞳はどこまでもただひたすらに冷たいままだ。
すべてを眼下に見下ろさなければ、気が済まない。
好きなものほど嬲り痛めつけたくなる。
組織内ではドルフと名乗っていた大男。
一目見た時から何やら虫が好かなかったが、これが同族嫌悪というやつか。
アキラの野郎もまた厄介なヤツに惚れられたものだ。
「オマエとヤるとか、……ねェわ」
「相手かまわずの淫乱ちゃんが、何言ってんだか」
ドルフがおかしそうに笑う。
「ケツがうずくんだろ。……リンから聞いてるぜ?」
リンのヤロー、次会ったらぜってェ殺す、と毒づきながら、こうなったらもはや進むしかないと覚悟を決めた。
「……オレは高いぜ? リンのアホウは一晩で100万積んだ」
「へぇ? まぁ、払ってやってもいいけどよ。おまえにその価値があるのか?」
ここまで言われて、このケンカ、買わないわけにはいかなかった。
「一発につき、100万。それ以上はびた一文、まけねえェぞ」
ふっかければ、
「おまえから強請った分は、引いてくれんだろーな?」
あくまで上から目線で見下ろされた。
この旅行中、オマエ以外の中では出さないと誓った士郎の顔が脳裏を過ったが、事は組織を抱き込む大事だ。
何より上を行こうとされれば燃立つ男の本能が、避けては通れないと訴える。
まったく、難儀な性格だ。
ドルフ……もといゼロは、唖然とする警備兵にいくばくかの紙幣を手渡し口止めすると、アゴでついて来いと示し、そばに停めてあったジープに乗り込んだ。
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