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始動 9 (ゼロside)
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長い長い沈黙の後、アキラは己の幸せを放棄するように、わかった、と言った。
『だが、弟には手を出すな。それでいいなら、オレには何をしてもかまわない』
口のきき方に気をつけろと蹴りつければ、一瞬、怒りに燃えた瞳が、急速に光を失っていく。
『言ってみろ。おまえはオレの、何だ?』
『オレは……、おま……あなたの、奴隷、……です……』
こらえ切れず、視線が揺れて、地面に落ちた。
『にーちゃ……?』
だが、弟が心配そうに見上げれば、大丈夫だとやさし気な顔で、頭をなでる。
自分を差し置いて和むアキラに、さっそく命令を下した。
『奴隷が主人と同じ目線で、物言ってんじゃねぇよ』
再び険しい表情に戻ったアキラが、弟を下がらせ、ひざまずいた。
その鼻先に、エサだとばかりに、汚れた素足を差し出した。
『舐めて、きれいにしろ』
クッと唇を噛みしめたものの、ピチャ……と足先に熱い舌がはう。
初めての行為の後で、発熱しているのだろう。
熱くヌメッた舌が連れてくる快感に、早くも下腹部がざわめき出す。
両足を余すところなく綺麗にさせたところで、服の下からゆるく勃ち上がったものを取り出した。
『男を熱くさせたきゃ、演技とテクニックの両方がいる』
甘えられるのが好きなヤツには、かわいく甘えてやりゃ済むが、己の力を見せつけて優位に立ちたいヤツには、逆にちょっと逆らって見せるくらいがちょうどいい。
その果てに堕ちて見せてやれば、満足感も増すだろう。
『ちなみにオレの望みは』
『オレを壊したい……、そうでしょう?』
覚悟を秘めた瞳が、物悲しく映る。
安易な道に流されない、気高く硬質な魂が壊れる様は、きっとこの上なく色鮮やかで、美しいに違いない。
やるしかないのなら抵抗するだけ無駄だとばかりに、無機質に熱に向かって無機質に伸びてくる手を、冷たく振り払った。
『しつけのなってねぇ犬だな。いずれおまえを天国に連れてってくれるもんに対して、挨拶もなしかよ?』
『……っ、どう……すれば……?』
『そんなん自分で考えろ……って言いてぇとこだが、さすがに最初くれぇはやさしくしてやるか』
いいか、こう言えと、アゴをつかんで、視線を合わせた。
『御主人様の立派な肉棒を、どうかこの汚い奴隷めに味あわせてください。一滴も残さず飲み干してみせます……だ』
『……っ!?』
『瞳は濡らせ。触れる時はあくまで、うやうやしく。怒りは殺して、腹の中で燃やせ』
いずれはすべてを燃やし尽くす大火に育て上げるために。
あまりに下劣な言葉の羅列に、アキラは呆然と固まっていた。
だが、その先の弟に視線をやれば、焦ったように身を乗り出して、震える唇を開いた。
『御主人様の……』
『やめるか?』
『……っ、立派な肉棒を……っ』
少女のように美しいアキラの唇が語る、不似合いに卑猥な単語に、グッと下肢が熱を孕む。
『どうか……この汚い奴隷めに、……味あわせて、ください……っ』
『……で?』
アキラの首筋に手の平を回し、己れに向かってグッと引き寄せた。
天を仰ぎ、早くも包皮を破り先端を露出させたものが、アキラの頬を打った。
先端を滑らかな頬に押し当てて、先走りをなすりつける。
さすがにアキラの表情が歪んだ。
先刻されたばかりのひどい仕打ちを、思い出しでもしたのだろう。
だが、許してなどやらない。
『くわえて、それから、どーすんだよ?』
『……っ、一滴も、残さず……』
『残さず?』
『飲み干して……みせます……っ』
言い切った後、アキラはしばらくの間、身じろぎすらしなかった。
その屈辱にまみれた様を目の奥に焼きつける。
そうやって少しずついろいろなものを失っていけばいい。
ボロボロに砕けた心が己の手の中に堕ちてくる日が、この上なく待ち遠しく、同時に一日でもゆっくり来ることを祈った。
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