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嘘つき
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「旦那!?何処行ったの?!」
屋敷中騒がしい。
旦那が・・・幸村が居ない。
いつもは朝早くから鍛錬に精を出して、人間のなす量ではないソレを終えれば甘味をねだるのに。
ここは戦国だ。
いつ、敵に襲われるか分からない。
いつ、命が散るか分からない。
「帰って、来るよね・・・?」
ひょっこり帰ってきて、説教しながら、俺様は安堵の息を漏らせるんだよね・・・?
「旦那・・・。」
祈るような思いで捜索した。
縋るような思いで捜索した。
忍隊の内、数名だけを捜索にまわした。
あとは、俺様だけで十分だ。
木々の合間を縫いながら、そっと昔を思い出していた。
あの頃も、よくこうやって探し回ったなあ。
自分の立場も分かっていなくて、すぐに居なくなって。
探すのは、世話係の俺様の仕事だった。
鬼遊びだと思って逃げる旦那を追いかけて、毎日へとへとだったなあ。
あの頃の俺は、子供嫌いな捻くれ者でさ。
でもいつの間にか、それが日常になって・・・。
いつの間にか、旦那は大きくなった。
心も、身体も。
いや、心は違うかなあ。
未だに、頑固なとことかさ。
でも、それが結果的に武田軍の勝利に繋がっている。
ねえ、早く出てきてよ。
「・・・クッ!旦那!!」
何処に居るの・・・?
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