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例えばの存在意義
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夢を見た。
真っ暗な世界に俺は立っていて
他に何もなかった。
ただ、さっきから変な音がするのが気にかかった。
水の滴るような音。
「・・・。」
綺麗な音だ。
「・・・。」
ああ違った。
俺は自らの足元に広がる赤い水を見下す。
「・・・。」
見慣れた光景。
ピチャン。
また一つ、水面が揺れて波紋ができる。
俺は途端に耳障りになった音を消すように
バシャン。
水面を蹴って進んだ。
「・・・ぁ?!」
目の前にいるのは紅。
暖かい紅。
それが、違う赤を纏っている。
「ぁ、ゆ・・き、むら、さま・・・!」
慌てて抱き起しにかかる。
けれど。
「ッ?!」
差し出した手から赤が零れだす。
止まることを知らない穢れた赤。
「ぅ、ぅ、う、ぁ、あ、あ」
口から出てくるのは意味不明な単語ばかり。
「ひっ!」
ああ、こんな手では
あの人に触れることなんて、出来やしないんだ。
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