アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
蝶散
-
トス。
「だぁんな。」
「む!」
佐助は中庭へ降り立つと、目の前の主に声をかけた。
早朝から今まで、二槍を振るっていた細い腕がピタリと止まる。
「なんだ、佐助か。」
少し緊張していたのか、主の力が抜けていくのが分かる。
「なんだ、じゃないでしょ。朝っぱらから旦那呼ぶのに駆り出される俺様の身にもなってよ本当。」
肩を竦め(すくめ)ながら佐助は主の顔を窺う(うかがう)。
「むう、すまぬ・・・だが・・・。」
「知ってるよ、アンタが槍を振るう理由。」
おどおどと話す主に柔らかく声をかけながら、中庭から屋敷のほうへ足を向ける。
「・・・だけど、身体は壊さないでね。」
そこで、佐助はくるりと主に向き直り
「俺様、付きっきりで看病しなきゃいけなくなるから。」
そう言って笑った。
「ふ。」
主はつられるように顔を綻ばせ
「佐助もな!お主がいなければ、この武田は成り立たぬ!!」
そう言って笑った。
「そうだね。」
―もし俺の存在価値が武田なのなら俺はそう生きよう
だけれど、願わくば貴方の為に活きたいと
そう願うのは勝手でしょう?―
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
108 / 226