アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
狂死くて愛惜しい (ダテサナ 病み政宗注意)
-
今は何時だろう。
幾時が過ぎたのだろう。
お館様、佐助、皆も・・・元気にしておるだろうか。
某はまだ。
帰れそうにありませぬ・・・。
<***>
「よぉ幸村。調子はどうだ。」
「・・・外の空気を吸いとうござる。」
「・・・駄目だ。」
「・・・そうでござるか・・・。」
「・・・。」
もうどうでもよくなっていた。
帰れないのも、帰りたい気持ちも、何もかも。
「もう・・・どうでもよいのでござる・・・。」
「何言ってんだ幸村。お前は笑ってろよ。」
「・・・某から笑みというものを奪った者の発する言葉とは思えませぬな。」
「・・・HA」
もうどうでもよくなっていた。
この身も、この心も、何もかも。
「もう・・・某は笑えませぬ・・・。」
「sorry.でもな、俺は・・・」
「笑いたくもないでござる・・・!」
もうどうでもよくなっていた。
この思いも、あの想いも、何もかも。
「其方を・・・ッ!信じていたのに・・・ッ!!」
「俺は、お前が・・・」
「なのに・・・ッ!どうして・・・ッ!!!!」
もうどうでもよくなっていた。
生きることも、死ぬことも、何もかも。
「どうして・・・ッ!!!どうして!!!!・・・ッく!!!」
「幸村!!!」
「殴ればいい!!あの日のように、殴ればいい!!!」
「―ッ!!」
「そのまま殺せばいい!!!殺してくだされ・・・ッ!!!殺せええええええ!!!!!!!!!」
「幸村、落ち着け!!」
もうどうでもよくなっていた。
原因も、理由も、何もかも。
「死にたい・・・。某は、死にたい・・・!!」
「幸村、そんなこと、言うな・・・。」
「某は、其方のために生きているのではございませぬ・・・ッ!」
「幸村・・・。」
「某はッ!!其方のために死にたくなどございませぬ・・・ッ!!!!」
「・・・。」
「・・・ッあ・・・うっく・・・」
「幸村・・・大丈夫か・・・」
「触れるな!!!!!!」
もうどうでもよくなっていた。
「帰りたい・・・」
「・・・。」
「皆のもとへ・・・帰りたい・・・!」
「駄目だ。」
「ッ!!あああああああああああああ!!!!!!!!」
もうどうでもいいと思いたかった。
だけど、この男を殺すまでは生きてやる。
そして、なにより。
「政宗殿・・・早く、帰ってきてくだされ・・・。」
きっと。
政宗はまだ戦から帰ってきていないのだ。
そして。
帰ってきたら伝えよう。
「貴方をお慕いしております・・・。」
それまでは、待ち続けよう。
それがシアワセなのだろうから。
苦しくて、
愛おしい。
それが、シアワセ。
たとえそれが死合わせなのだとしても。
この笑みは。
貴方が帰ってきたときのためにとっておきましょうぞ。
狂っているのは、あなたか、わたしか。
愛しているのは、あなたも、わたしも。
「幸村、ごめん、な・・・。」
枯れたはずのこの雫がもう一度枯れるまでに
貴方に逢いたい。
<***>
そして数日後。
二人の遺体が見つかった。
しかし二人は確かに。
幸せそうに笑っていたのだ・・・。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
163 / 226