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はじまり
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俺たちは幼い頃から一緒だった。
いつから"そういう"感情を抱いたのかさえ分からない。
気づいたらずっと抱いていた感情。
それは消える事なく、成長するごとにむしろ大きくなっていった。
『このまま。ただ一緒におれる時間だけが過ぎればええ。』
神様とか仏様とか信じてへんけど、これだけはいつも願ってた。
けど、やっぱりそういうなんはいいひんくて。
「俺、軍に入る。軍に入って、俺が大好きな場所を守る。」
18の誕生日の日、目をキラキラさせながら誇らしげにあいつは俺にそう語った。
軍人は誰しも憧れ尊敬する存在。と、同時にどの職種や役職よりも死に近い存在。
「辞めろ。死にに行くんか?!」
ほんまはそう言いたかった。喉のすぐそこまで言葉はきてた。
でも、俺はずっと幼い頃からあいつを見てきたから、寸前で言葉が詰まった。
あいつが、どれだけ軍人に憧れてたかも知ってるから。
神様とか仏様、俺はあんたらの存在なんか信じひん。
あとあんたらの所に、若いあいつを絶対行かせへん。
「分かった。せやったら、俺も一緒に入ろかな。他になりたいもんもないし。」
言いたかった言葉を喉から引っ込めて、呆れたように言ったった。
そしたらあいつ、驚いたような顔して、すぐに嬉しそう笑った。
俺が守りたい、俺の大好きな笑顔で。
「お前と一緒やったら、怖いもんないわ!」
あいつは自分の大好きな場所を守るため。
俺はあいつとあいつの痛い場所を守るため。
それぞれが、それぞれの守りたいもんを守るために、俺たちは死の最前線へと足を踏み入れた。
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