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scene.6
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両家が集まるのはこれで数回らしく、それこそ俺抜きでこの話が進んでいたんだと、秀治のお父さんから聞いた俺は、本当どうしてくれようかと困った。
そんな素振りも見せなかったし、俺を可愛いだとか言って愛玩動物としか扱われていないだろうと思った事もあったのに。
こんなに求められてしまえば、一生秀治から離れることは不可能だ。
「てか、俺こんな早く結婚するとは思わなかったんだけど」
「そうか?」
「なんか、大学卒業して、就職してからとか、めっちゃ考えてた」
「・・・俺とだよな?」
「そうそう、給料三ヶ月分の婚約指輪買ってプロポーズするつもりが、すっ飛んで結婚しちゃった、しかも先越された」
あまりのスピード婚、いや実際は四年半暮らしていたからそういうわけではないが、秀治の事だからもう少し待つと思った。
今更すぎる会話を聞いていたのは、意外な人物だった。
「あら、じゃあ今度は結婚式しましょうね」
「お母様、俺ウエディングドレスはちょっと・・・」
「藍くん可愛いから有りだと思うわ?」
「いやいや、母さん藍が着たらシャレになんないだろ」
「そうかしら? 可愛いと思うのに?、分かった、嫉妬ね!」
「当たり前だ、女装なんか断固拒否だ」
「えってことは、二人でタキシードだよな?」
「お色直しで着ればいいじゃない、嫁に出したんだから着てる所見たいし」
「母ちゃんまでそう言う!?」
クスクスと、笑いながら母達が話にのってきてしまう。俺がウエディングドレスを想像してみれば着れない事はないのかもと、その気になってくるが、秀治は意外にも嫉妬深かった。
「盛り上がってますけど、絶対着せませんからね」
「秀治は見たくないの?」
「見せたくないです」
「・・・あらそぉ? なら写真に撮る時だけならいいんじゃないかしら?」
「そうね、それなら他人と言っても私達だけだもの、どうかしら秀治くん」
「・・・善処します」
笑いながらちょっとだけ怒る秀治は器用だ。俺のウエディングドレスは、両親達にさえ見せたくないらしい。どれだけ嫉妬深く、どれだけ愛されているのかを目の当たりしてしまい、なんだか居心地が悪い。
そんな話を数時間交わし、あとは新婚同士でという両親達は昼前に帰って行った。
駅まで見送り、二人で部屋へと帰ってくる。さっきまであんなに賑やかだった部屋も、今は静かな気がして気まずい。
「なんか、いれよっか」
「藍、こっち」
「・・・なんか、今更なんだけどさ、ものすっごい照れんだけど」
「夫婦なのに? これからもっと甘やかされるのに?」
「俺生きて行けねーじゃん、ばか」
手招きされれば、素直に所定の位置となった場所に腰を掛ける。
自分でも今更だと思うのに、夫婦というのを意識してしまい、恥ずかしさやら照れやらがドッと溢れてくる。
対になった手と手を握られれば、より顔が弛む。
「ニートになろうが、養ってやるよ」
「いやー、それは勘弁」
「なんで、むしろ俺は家から出て欲しくねえけど」
「・・・てか、そんな事考えてたのかよ」
「悪いか? 大地も気に食わねえ、お前の学部のじぃーさま教授も気に食わねえし」
「どんだけ嫉妬してんだよっ! 俺の事好き過ぎてダメ人間だな、さっきまでかっこ良かったのに」
「うるせえ、お前に関してだけだからいいんだよ」
「ウケる、どーしよーもねー旦那サマだな」
「可愛い奥サマ一筋だからな、俺は」
そう、秀治が言い唇を啄ばまれる。
それが合図だったように、俺からも唇にキスをした。
今まで何回もしたはずのキスも、今とは違うキスだ。秀治を好きになって良かったと、心からそう思える。
ドタバタして、まだまだたくさん未来は不安だけど、これからもずっと秀治と一緒なら頑張れると強く思う。
「・・・どうぞ、末長く宜しくお願いしますな」
「こちらこそ、これからも宜しく」
「・・・ふ、ふっふっふ、ヤバい幸せ過ぎて、にやける」
「可愛いやつ」
ーENDー
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