アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
.
-
暫く黙って空を見上げてると、ふと温かい物が俺の冷えきった手を包み込んだ。
「那生(なお)。」
呼ばれて隣を見ると薄暗い中でも分かる穏やかな笑顔が俺を見詰めていた。
「何?」
可愛くない俺の返事にもその笑顔は崩れない。
「メリークリスマス。それと、誕生日おめでとう。」
そっと囁かれたお祝いコメント。
昔は纏めてお祝いされる事が凄く嫌だった。
他の人達は別々にプレゼント貰うだろうに、何で俺だけ一緒にされるの?と僻んだ事もあった。
でも。
今日は2倍祝われた気分になったのは、きっとコイツが『おめでとう』って言ってくれたから。
「あ、ありがとう。」
ちょっぴり恥ずかしくて視線を外しながらお礼を言えば、クスリと小さく笑う声が聞こえた。
「相変わらず可愛いな、那生は。」
「可愛くねーし。」
俺の悪態も今日はマフラーが吸い込んでくれる。
「那生、顔見せて?」
甘い声で囁かれたら逆らえない。
ゆっくりと顔を上げると顎を掬われて強制的に視線を合わせられる。
「やっぱり可愛い。」
そう言って微笑むと端正な顔が近付いてきて、柔らかい唇が俺のに重なった。
冷えきった身体がヤツの甘い香りと温もりに包まれる。
妙に慣れた様子のキスは最初は凄く嫌だった。
でも今は翻弄されながらもドップリ嵌って抜け出せないでいる。
静かな公園に響く卑猥な水音。
誰も居ないと分かってるのに羞恥で体温も上がる。
キスの合間にそっと触れてくるヤツの手は温かくて、俺は無意識にその手に頬を擦り寄せていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
8 / 9