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頬を伝って耳元を掠めた大きな手が俺の後頭部に回る。
その間もヤツの舌は俺の口腔内を我が物顔で動き回る。
それに応えるだけの技量を持ち合わせてない俺はヤツの舌に自分のを絡めるのに精一杯で、もう頭の中はキスの事しか無かった。
暫く俺を堪能した唇がやっと離れて俺は解放された。
少しだけ上がる息と体温。
だらしなく力の抜けた身体は隣の温もりに凭れ掛かる。
その時、首元にヒンヤリとした冷たさを感じた。
凭れたままの態勢で触れた首元に違和感を感じて身体を離す。
視線を少しだけ下ろすとマフラーの上に光る物があった。
「これ・・・?」
「俺のだって印。指輪を、とも思ったんだけどね。余りにもベタだろ?そっちの方が『所有物』感出るし。」
含みのある笑を浮かべる端正な顔を思わず睨む。
素直に誕生日プレゼントだって言えないのかね?
そう思ってもやっぱり特別な事には変わらなくて、俺の頬は自然と緩む。
雪の結晶を象ったペンダントトップに触れてみる。
六角形の中央に輝くのは綺麗な碧い石。
「それはブルージルコニア。昔から護身符として用いられているんだって。」
「俺ってそんなに危なっかしい?」
「俺が居ない時、那生を守ってくれる。」
冗談で言った言葉に真顔で答えてくる。
俺も一応男なんですけどって突っ込みは今日は言わないでおこう。
コイツの無駄な心配が昔は鬱陶しいかったけど、今は嬉しいから。
「ありがとう。大切にするよ。」
そう言って微笑めばまたヤツの温もりに抱き締められる。
「那生。産まれてきてくれて、ありがとう。」
耳元で呟かれた言葉は俺を幸せにしてくれる最高の言葉で、産まれてきて本当に良かったと心から思えた。
最高に寒くて、でも幸せな誕生日。
これからもコイツと2人、穏やかに過ごしていけたら良いなと心から思った。
fin.
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