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☆ヒラの採血 フジヒラ
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俺ことヒラは今日フジに付き添って貰って病院に来ている。
最近、ニキビが酷くて抑える飲み薬を出して貰ってたんだけど…
「ヒラさん、採血しましょうか」
「へっ…?」
「ヒラさんにお出ししているお薬が少々強めなので一応ですが人体に影響が無いかお調べするために採血します」
「あ、あの先生!俺ほ、本当にあの、注射がダメで…」
「そうですか…ですが来週も同じこと仰ってらして、今日やるから勇気付けさせてくれって仰られていたので今日はやりましょうか」
「あ…そういえば…で、でも俺本当に…」
「待合室で採血の順番が呼ばれるまでお待ち下さい」
「う…あ…で…でも…」
俺は意気消沈で待合室へ戻る。ああ…足が重い…
「あ、ヒラー。おかえり。どうだった?」
「フジぃ…さ、採血しなくちゃダメなんだって…」
「えっ!?ヒラ注射ダメじゃん!」
「うん…そうなんだよ…だからもう本当に怖くて、怖くて…」
「ヒラさーん、採血室にどうぞ」
「ひゃっ!よ…呼ばれちゃった…行かなきゃ…じゃあね、無事に帰ってこれたら暖かく見守って…」
「ヒラ…帰ってこれないみたいな言い方しないで(笑)でも頑張って…生きて帰ってきて…」
フジの応援してくれる声をうっすら聴きながら、心臓を震えさせながら採血室に入った。
「ベットに横になって、右手を伸ばしていて下さいね。すぐ終わりますからねー」
「は…はい…」
すぐって言っても一つ一つが長く感じるんだよ…
消毒液塗るのとかもうスースーしてこれから注射しますって宣告されてる恐怖が本当に怖い…
「いきますね。怖かったら壁の方向いて頂いて大丈夫ですよ!」
「…ありがとう…ございます…」
気遣いありがとうございます。でも怖いものは怖いんです…
プス
「うあっ…あっ…あ…」
ああ…やばいやばい針刺さってる、刺さってる…チクってする…
針が刺さってる感覚が体を震えさせる。体全体が震え、腕は動かさない方が良いのかなって思うんだけど腕の震えも止まらない。血を抜かれる感覚も自分の皮膚に針が刺さってるという事実も恐ろしくてたまらない。
助けて…フジ…
「終わりましたよ。少しギュって抑えてて下さいね」
「…」
震えがまだ続いて返事が出来ない…看護師さん、ごめんなさい…
「はい、もう大丈夫ですよー。絆創膏貼ったのであと1、2分抑えてて下さいね。もう診察室戻って頂いて大丈夫ですよ」
「ありがとう…ございました…」
フラフラとした足取りでまだチクチクと痛む傷を抑えてフジの所に戻った。
「フジ…ただいま…」
「ヒラ…!大丈夫?なんか窶れてるね…」
「っ…フ…フジぃ…」
「わっ!ヒラ泣かないで…」
「だってぇ…すっごく怖かったんだからぁ…痛かったし全身の震えが止まらなくて…注射の針が見えた瞬間もうダメで…本当に死んじゃうんじゃないかって…それで…」
「怖かったね…よしよし。ヒラは偉いね。ちゃんと頑張ったんだもんね。おいで」
フジが両手を広げてくれたので俺は素直にフジに近づいた。まだ人が少なくてよかった…
「ん…」
フジの胸に寄りかかって顔を埋める。安心感とフジの暖かい体温に包まれてボロボロと溢れてた涙もフジに寄りかかったら全部引っ込んでしまったみたいだ。フジに甘えられる口実としてなら注射も悪くない…かも?いや、やっぱり絶対無理だ。
「ヒラさーん」
「あ、はーい。呼ばれたからお会計してくるね。ちょっと待ってて、フジ」
「うん、行ってらっしゃい」
――――――――――――
「おまたせ」
「あ、終わった?行こっか」
「あのね…フジ…」
「ん?どしたの?ヒラ」
「どうしよ…腕曲げるの怖くなっちゃった…」
「え!?どういうこと!?」
「あのね、肘の曲げるとこに絆創膏貼ってて剥がすのも血が出そうで怖いし…曲げたらちょっとズキってして…怖い…このまま曲げられなかったらどうしよ…俺曲げられないまま過ごすのかな…」
「なーんだ、そんなことで悩んでたの?ヒラってば可愛いー」
「ま、真面目に悩んでるんだよ!本当に怖いんだから!」
「はいはい(笑)ちゃんと分かってるよ。はい、腕曲げてあげるから慣れてねー」
「あっ、ちょ…フジ!いきなり曲げないで!怖い怖い…!って…あ、曲がった…!」
「はい、これで大丈夫?」
「うん!ありがとう、フジ!」
「全くヒラはかーわいいなー(笑)」
「か、可愛くなんかないですー!!」
「ごめん、ごめん(笑)ほら、行くよー」
「…あのさ、フジ?」
フジの服の裾をクイッと引っ張り引き止めた。
「今度はどうしたの?ヒラ」
「やっぱまだちょっとだけ怖いので手握っても良いですか…?/////」
「あっ、い、良いよ/////」
「ありがと…/////」
フジが隣に居てこうして手を握ってくれてるだけで、注射の恐怖も忘れることが出来るなんて…フジを好きになって本当によかったなぁ…
その後、2人は仲良く手を繋いで帰りましたとさ。
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